ドーマン法に生きていた私~脳性まひ者の告白~/第8回 クロスパターンウォーキング
ドーマン法の歩行プログラムとして、クロスパターンウォーキングとシモナカルドローニ歩行という2つの歩行訓練があります。
少々手荒なこのウォーキングプログラムが歩ける患者には待っているのです…
みなさん、ここからは、さらに頭を柔軟にして、私の話を聞いて下さいね!
今回はクロスパターンウォーキングをご説明していきたいと思います!このプログラムに必要な物は、毛並みの短いカーペットとスキーブーツとスキー板の3点。要はカーペットの上を(室内ということですね!)スキーブーツを履いて歩く/それから、スキーの板を装着しカーペットの上を滑らせ歩く、という歩行プログラムなのですが、日本のリハビリ室に置いてあるような平行棒なんて用意する必要はありません。なんたって壁を支えにするのもNGですし、当然、人に介助してもらうのもダメ!あくまで自分の足で歩かなければなりません。そうあの自由が利かないスキーブーツを履いた状態で!です。よろよろとコケレバ身体が思うように動かせない脳性麻痺者が捻挫じゃ済まないことぐらい、みなさまも容易に想像して頂けるのではないかと思います。なのに、なぜにスキーブーツなのか? それは、脳性マヒ者の多くは、膝の微妙な使い方ができないのと、緊張が強い為、膝が過伸展してしまうのですね。それを矯正するために、足首に角度のついたスキーブーツを履かせ、それでも腰や骨盤を駆使して膝を過伸展させてしまう子には(私もそうでしたが)膝にツーヘンズと呼ばれる木で出来た特別な道具を膝に取りつけ、過伸展すると、弁慶の泣き所に、その固い木がアタルという状況で延々、歩かせ続けるんです!
はっきり言って無茶苦茶です。
≪頻度・強度・継続度≫に続き、ドーマン博士の持論は≪構造が機能を決定しているのではなく、機能が構造を決定する≫とのことですので、とにかく無理やりにでも、そういう状況に追い込めば、あとは自然にできるようになるのだと。
今なら博士に『麻酔がかかっている状態で、いくら強く脳に命じても“麻酔”には対抗できないでしょ! 脳性麻痺の“まひ”も、これと同じ状況なのです!脳性麻痺を甘く見ないでくださいョ』と、にこやかに楽歩スマイルを浮かべて言えるでしょう。
つ・ま・り!! 麻酔が効いている状態の口で、無理やりにでも、食べたり飲んだりしたとしたら、どうなるか? 食べにくいことこの上なく、しかも、口の中は血だらけ状態。
何べん修業を積もうが、努力は報われず、残るものは口の中の傷と痛みだけ!!
麻酔が効いた状態では、同じことが繰り返されるだけのことですよね?
仮に博士の≪機能が構造を決定する≫という持論が正しかったとしても、少なくとも、脳性麻痺者に、それは無理な方法なのです。なぜならば、上記のクロスパターンウォークの例をとって説明しますと、そこまでして膝を曲げさせたところで、普通の人が膝を曲げるようにまっすぐ膝頭が正面を向いたまま曲がらないからです。人体というのは、とても神秘な作りのようで、正常な動きにしか対応できないみたいです。つまり、元々正しい格好で歩けない私は、おなじみの楽歩ウォーク!? でも人体の至る所に無茶を強いて、歩いている訳です。クロスパターンウォークでも同様で、もっと踏み込んで言うならば麻痺がキツイ部分を無理に使い、関節へさらに負担をかけていたに過ぎない訓練方法だったと言えそうです。(大畑 楽歩)
楽歩さんのブログはこちら→ http://ameblo.jp/rabu-snoopy/
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