靖国神社/28回 潜入ルポ・秋季例大祭 第三日祭(下)〈2007年10月取材〉
靖国神社/28回 潜入ルポ・秋季例大祭 第三日祭(下)〈2007年10月取材〉
さらに驚くべきことに、外国からの参拝者も増えているそうで、英字による説明も順次投入していくらしい。 鬼畜米英じゃないの? という感じだが、なんとなく日本語の説明しかしないという靖国らしい頑固な信念を貫いて欲しいとも思ったが、アストラが世におもねる作品を出したように、開けた靖国をアピールし始めたのか。
と思ったら、A級戦犯の分祀問題に触れ、分祀は不可能ときた。一度合祀された英霊の分祀は事実上不可能、さらに彼らはあくまでも昭和殉難者であって戦犯はいないというのが靖国の見解だそうだ。
最後に、私の入っている崇敬奉賛会についてふれていたが、現在の会員数は、約7万5千人。ピーク時(2002年)よりも2万人減少したそうだ。会員の年齢層を見ると、減少も仕方がないしこの先も若い会員が増えない限りだんだん減っていくのだろう。
南部宮司の話が終わった後、本殿へ行き参拝。そして、本殿に向かって直会。あいかわらず辛口だが、たまには甘口の日本酒を出して欲しい。
また受付のある紫のカーペット部屋へ戻ってきたが、そのときにずっしり重めの紙袋を渡された。
神饌だ。前回の神饌は、日本酒味の砂糖菓子だったが今回は豪華そうだ。中身は家に帰ってからあけるとして、風邪がぶり返さないうちに家路についた。
家に着き、神饌をあける。ずっしりしているからなんだろうとわくわくしながらあけると……。
「えっ!?……こ、これは……月餅!?」
どこかで、というより香港で中秋節の時に嫌になるくらい見たアレ。少し月餅の説明をすると、月餅とは「小麦粉、砂糖、卵、油などでこねた生地で、こしあん、松の実、ゴマ、クルミなどを用いた餡をを包み、平たい円形に焼いたもの」(広辞苑より)で、中秋節(旧暦の8月15日)に食べるお菓子のことだ。香港では、イタリア菓子の店や、スターバックスコーヒー、ハーゲンダッツでも月餅が売られていて味や形態はさまざま。これを家族で食べたり、贈答したりするのだ。
で、靖国の神饌である。製造元は、新宿中村屋。どうやらここの月餅は定番菓子で、なんと「和菓子」にカテゴリされている。実際、他の和菓子屋さんでも月餅を取り扱っている店もあるから納得はできる。
さて、今回もらったブツは、表面が靖国マーク(桜と菊が合体した紋章)になっている。『靖国なのに、中国伝統菓子ってどういうことだ』という感じだが、靖国としては、「『月餅』は中国伝統菓子かもしれないけど、日本人の口に合わせ作ったからからまったくの別物なの。だから神饌にしてもいいんだもねー。マークも入れたし」というところだろうか。
私の頭では理解ができない。ごめんなさい。
これからは柔軟性うんぬんではなく、首をかしげたくなるようなことや、新たな試み(?)と思えることに関しては「次世代に向けての新しい靖国プロジェクト」だと思って付き合っていったほうがいいのかもしれない。
それにしても靖国はおもしろいの一言に尽きる。
こうやっていつのまにか、「靖国」という名の底なし沼にはまっていくのだろう。
底なし沼の先には何が待っているのだろうか。(奥津裕美)
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