ドーマン法に生きていた私~脳性まひ者の告白~/第10回 ブレキエーション
ドーマン法を取り組むにあたって、まず用意しなければならないものといえば、パターニング台とブレキエーション(うんてい)でしょう。(もっと重症児には、ブレキエーション以前に、寝返り防止器や滑り台のような形をしている傾斜版と呼ばれる道具が必要)
このブレキエーションは、死ぬほど嫌いなプログラムの一つでした。介助なしで一人で渡れるようになるまで、半年ほどかかりましたし、できるようになってからも怪我のリスクが常に伴う非常にハイリスクなプログラムでした。(実際、骨折までしたのに、このプログラムが危険だってことに全然目がいかない両親…やれやれ;)だいたいウンテイなんて遊具はだれがアミダシタノヨ~責任者でてこい!って毎晩呪ってたぐらいですから(笑)
ドーマン博士は、ワタクシが思うに、どのプログラムメニューを開発するにおいても、怪我のリスクなんぞは眼中にないご様子。(笑)
きっと“怪我”ぐらいは、ほっときゃ治るという感覚なのでしょう。
この考え方自体、少々野性的すぎますが、まぁ捉え方によっちゃ、健常児の育て方としては応用できそうですが、身体障害児にそれを適応させるのは…やっぱり無茶だと思います! 確かに骨折した骨は、わずか数カ月でくっつきましたが、落下の度に捻挫や打撲を何百回と繰り返した結果、足首の靭帯は伸び切り、その結果、未だに寒くなる度にうずきます。(墓場まで持っていきますよ!! イッヒヒ)
また靭帯が伸び切っちゃってるので、挫きやすく→ちょっと挫くと伸びきった靭帯は保護の役目を果たせず→即、骨折に行きついちゃうというリスクを背負いながら、手足に上手く指示を出せない脳性麻痺者をやってるのはキツイものがあるんですけど…。
ちなみにブレキエーションがおりなす効果は、
① 斜視が改善される(なんらかのダメージを脳に受けた場合の多くは斜視になるとドーマン博士は述べていた)これはバーからバーへと渡る際、次のバーを必死で見るのでおのずと改善されていくということ。
② 呼吸が改善される(脳障害児の多くは何らかの呼吸の問題を抱えているとドーマン博士)
なぜならば、バーを一つ飛ばしで渡っていくことで、胸が大きく開き、それによって肩幅も広くなっていき、吸える量が大きく変わってくるからというもの。また博士は、肋骨は天然のコルセットであり薄い胸では深い呼吸ができるわけもなく、まるでコルセットで締め付けられているようだと。さらに、胸が薄いのは深い呼吸をしてこなかったために、胸が厚くなる必要がなかったからだと説いています。
だからブレキエーションで深い呼吸ができるように胸を広げて、さらに他の様々なプログラムで深い呼吸ができるようにしていこうというのが博士の見解。
いずれのプログラムについても博士は「脳を治療する為に開発した方法なのだ」と再三に渡って主張しておられます。つまりこれらの機能回復訓練により、脳の未開拓部分の細胞へ確実に記憶され、勝ち得た能力は半永久的に(再び何らかのダメージを脳に喰らわなければ)持続していくもの、それがドーマン法なのだと。
この部分を、特にうちの両親は信じ切っていたのでしょうね!
だいたい、そんなことが可能ならば、スポーツ選手は一生涯現役でいられるじゃないですか!全くぅちょっとは周りも見渡してみてくれよ~って感じです。
私にしたら、呼吸も大事だけれどブレキエーションで獲得した呼吸の“質”を保ちたければ一生ブレキエーションにぶらさがっていないといけない人生なんてまっぴらごめんだ、と思っていたのでした。(笑!)(大畑 楽歩)
楽歩さんのブログはこちら→http://profile.ameba.jp/rabu-snoopy/
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