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2009年10月 9日 (金)

ドーマン法に生きていた私~脳性まひ者の告白~/第3回 治療の前に立ちはだかる壁

 日本中の医者から見放され、我が子の障害がどうにも良くならない現実を受け止められず悲嘆にくれる親ならば、たとえ財産をなげうることになろうとも、世界中のあらゆる方法を試したいと思うでしょう。
 そしてドーマン法を知れば、今すぐにでも我が子に受けさせたいと思うでしょうが、様々な問題をクリアしなければスタートラインにすらつけません。

 その大きな理由としては、治療費が莫大にかかることと、治療には必ず家族で取り組まなければならず、年に2回行われる再診の際には、必ず両親が揃って出席しなければならないことがあげられます。再診の時には、約2週間拘束されます。日本の職場事情で年2回(1月と7月)まるまる2週間の休暇を取るなんて不可能に近いことです。
 しかし、いかなる事情があろうとも、この再診時に両親揃っていなければ、そして様々なルールや定められたゴールを達成できなかった場合などには、有無も言わさず「お辞めなさい」と言われ、一度この通達を受ければもう二度と治療は受けられないと言われています。なので治療を受けている家族は、ノイローゼになるほど常にピリピリしていて、時に嘘をついてでも、スタッフのご機嫌を損ねないように気を使っているのです。

 私がはじめたのは、アメリカのペンシルバニア州にあるフィラデルフィアの本部に出向かなくても、日本の東京で治療が受けられる新システムが導入された頃でした。
しかし、ドーマン博士が率いる人間能力開発研究所は非利益組織のため、スタッフが東京に来るための渡航費やその期間の滞在費(ホテル)、診察および講義の際に必要な(ホテルの一室や大広間などの)会場費、同時通訳者の費用など、すべてを治療を受ける側が持たなければならないのです。この中に治療代は含まれておりませんし、東京郊外の方は(私たち家族も同様でしたが)2週間もの間、東京に滞在しなければなりません。単純にこれだけを計算しても(これだけではすみませんけれど…)莫大なお金が必要になってきます。  
 その上、2週間も仕事を休めなんて、ちょいと無理な話です。これだけの条件を満たせる家族はそうざらにはいません。

 もはや愛情云々カンヌンの問題ではなくなってきます。

 この条件を突き付けられ、なおドーマン法に立ち向かおうとする家族は、かなりの数に絞られるハズなのに、それでも、すぐには治療を受けられず、少なくとも1~2年は待たなければならないのです。(私がやっていた頃はそうでした。私がマスコミに取り上げられてからは4~5年待たなければ受けられなかったみたいです)
これだけの大きな犠牲を払って取り組まなければならないのですから、親がちょいとおかしくなっちゃうのは致し方ないことなのかもしれませんね~。(大畑 楽歩)

楽歩さんのブログはこちら→http://ameblo.jp/rabu-snoopy/

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