靖国神社/25回 嗚呼、靖国旅情~上野駅から靖国まで~(下)〈2007年9月取材〉
JR上野駅正面玄関口を背にして右へ進む。親切なことに、歩道橋のところに「↑日本橋」という看板が出ていた。なるほど、ここをまっすぐ行けばとりあえず、日本橋方面へ行けるのね、と思いながら歩く……が、駅近くにある漫画の森へ行き、漫画を物色。出だしから寄り道。やる気があるんだかないんだか。一通り見たところで再開。
歩き始めてから約45分。700メートル以上先に、見覚えのある黄色いラインの電車が走っていることに気がつく。「もしやあの電車は……!」と思いながら歩くこと約10分。さらに見覚えのある、絶対に忘れない建物を発見する。
ヨドバシカメラAKIBA館だ。そして走っていた電車は、JR総武線。秋葉原に着いちゃったよ。てゆうか、自宅近いし……。1時間かけて地元に舞い戻ってきてしまった。ヨドバシのゲームコーナーを見たい衝動を抑えながら、空腹のため秋葉原駅近くのマクドナルドへ。時間を見ると出発からちょうど1時間たっていた。
なるほど。上野から秋葉原まで1時間(電車で行くと、4分)。寄り道の時間を省くと、だいたい30分ほど。
意外と歩ける距離で驚きながらマックを出て、歩き始める。書泉ブックタワーを通過し、神田川を眺めながらひたすら歩き、都営新宿線岩本町駅を通過。
大きな交差点に突き当たったところで、右に曲がる。交差点の名前を忘れてしまったが、標識に「靖国通り」とあったので右へ曲がった。
岩本町から神保町までは歩いたことがなかったので、町並みや新しい店などを発見しながら歩く。
岩本町の次の駅である小川町駅を越え、神保町に到着。編集部も近いし、よく行く場所、よく見る風景にもかかわらず、なぜか懐かしさが込みあげ思わず神田三省堂へ行ってしまった。とりあえず本に囲まれ疲れを少し癒したところでラストスパート。すずらん通りのほうへは行かず、靖国通りを歩く。さっきから「歩く」ばかり書いているが、事実なので許していただきたい。
上野駅から出発して約2時間。俎橋に到着。そこから靖国までは約10分ほどの距離。ゴールは近い。
さて、改めて俎橋から靖国を見たら、思ったよりも九段坂の斜面がきつい坂道だということに気づいた。いつも俎橋を通って九段下駅まで行っているが、夜なので坂がよく見えない。それに実際に坂を上っている時も、ある程度の急さはあったがそれほど気にならなかった。
そんなことを考えながら歩いていたら大鳥居についた。夢にまで見た大鳥居。すこし感激しながらさらに坂を上がると、目の前に大村益次郎が。益二郎が私を迎えてくれている(妄想)!
手水舎に寄り手を清め、神門をくぐり拝殿へ到着。参拝し、おみくじを引いたところで時間を見ると、上野駅から2時間20分たっていた(寄り道分を引くと、だいたい1時間20分程度)。
歌には「一日がかり」とあったが、現代だと1時間半でたどり着くことができる。距離を測ったところ約4キロ……。思ったよりも短いしたいしたことない距離だった。
そこから導き出される答え。「一日がかり」になってしまったのは、少なくとも『九段の母』で歌われた母は農作業で腰が曲がってしまい、杖がないと歩けなかった。それが例え4キロだったとしても、腰が曲がっていれば歩くのも大変だっただろうし、当時は今のようにアスファルトできれいに整備されていないだろうし、区画整理もされていないだろう。道路標示もなかったかもしれない。道に迷ったかもしれない、だから一日になってしまった。というとこだろうか。
たとえ「一日がかり」という歌詞が誇張だとしても、実際は一日も費やさずにたどり着いていたかもしれなくても、愛するわが子のために地方から上京し、杖をついて会いに行くと歌われてしまっては、そのように好意的に解釈せざるを得ない。
とりあえず、私がそのころにいたら靖国へやってくる母たちにねぎらいの言葉をかけたいと思った今回の旅だった。
上野、靖国間は非常に単純な道のりなので、興味が湧いた方は、『九段の母』を口ずさみながら歩いてみることをおすすめしたい。(奥津裕美)
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