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2009年10月 1日 (木)

アフガン終わりなき戦場/第23回 不正合戦のアフガン選挙(下)

 今回の選挙では厳しい報道規制も行われた。TBSのカメラマンが当局に拘束されたニュースは日本でも流れたが、実は私の知る範囲だけでも20人のジャーナリストが逮捕、長期間に渡り拘束された。
 私も選挙当日20日、タリバンが警察署を襲撃、銃撃戦になった現場を取材中に警察に拘束された。
 タリバン兵3人が攻撃をしかけ、一人が逮捕。二人が自爆した。タリバンが拠点にした廃ビルに入ると、血と硝煙のにおいがした。自爆した現場には、フロアに半径2メーターはある血の池。壁一面に銃痕と、飛び散った血がこびりついていた。
 すでに戦闘が終了していたと言うこともあり現場には30人以上のメディア関係者が殺到していた。そこに警官隊が突入。カメラを没収され、警察署まで連行された。私達がビルの外に連れ出されたとき、知り合いのオランダ人カメラマンが警官に講義をした。
「生意気なやつめ」
 そう言って、警察官の一人が彼を銃の尻で殴りつけた。

 アフガニスタンとは言え、警察がジャーナリストに暴行を加えたり、逮捕することに何の法的根拠も無い。選挙前日、政府当局からジャーナリストに「取材をしないように」との通達があった。もちろん、当局の圧力に屈するメディアはいなかった。私の拘束も、政府の報復だろう。
 アメリカからは取材を自由にさせるよにとの圧力があったとの情報もあるが、アフガン当局は強攻策に出ていた。メディアへの弾圧は、選挙の不正を取材させないため、としか思えない。
 選挙後、カブールの街中で話を聞いてみると、思った以上に選挙に行ったという人が少ない。投票した人の指には、その証拠としてインクで印がつけられるが、中々見つけられない。街頭で飲み物を売っているサベールさんも選挙には行かなかった。
 「選挙には行かなかった。どうせ、誰に入れても自分たちの私腹を肥やすだけだ。自分たちのためにならない選挙に行って、タリバンの攻撃で殺されたんじゃ、たまらない」
 街頭で話を聞いていくと、立候補者らカルザイ氏たちを「アメリカ人」と呼ぶ人たちが大勢いた。彼らはアメリカの傀儡に過ぎない、どうせアメリカのいいなりだ、と話す。
 投票率は前回の70%から50%に落ち込む見通しだ。今回の選挙が自分たちの意思を反映してくれると、考えられない人が多いのだ。

 今回の選挙ではパシュトゥーン人のカルザイ氏とタジク人のアブドラ氏が争い、多くの不正が行われたので、タジク人の側からすれば面白くない。民族対立が表面化しつつある。不正にまみれた選挙の結果、どちらにしろ禍根を残す結果となった。
 選挙で多くの不正が行われた背景には、アメリカの影響力が低下しているという裏事情がある。前回04年の選挙で、アメリカはカルザイ氏の対立候補を懐柔したり、と水面下でカルザイ氏を強くプッシュした。しかし、今回はそのようなことは行われていない。民主化どころか、不正と腐敗で成り立っているようなアフガン社会だ。アフガン人のみに占拠を任せれば、このような不正合戦になるのは眼に見えていた。
 今回の選挙を成功と見るか、失敗と見るかはまだ議論の余地もある。

 日本は民主党政権に変わり、インド洋での給油が1月に終了する予定だ。アフガン政策も大きく変わりつつある。このアフガンという不正に塗れた「破綻国家」にどう関わるか。もう一度米軍の侵攻の是非も含めて、考え直す時に来ているのではないだろうか。(白川徹)

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