冠婚葬祭ビジネスへの視線/第35回 ペット葬のあり方
様々な事情により、今月から数回にかけてペットのお葬式事情を追っていきたい。
ペットブームといわれて久しいが、波に乗った人はまだあってないに違いない、愛犬・愛猫の死に目には。考えたくもないだろう。
しかし知っておくにこしたことはないのではないか。だって、ペットのお葬式には既にいろんな企業が入ってきており、常にごった返しの状態で、どんな送り方がいいのかなんて瞬時に判断するのは至難の業だから。
自然派ならば、庭に埋めるのがいいだろう。自分の敷地内なら何を埋めても問題ない。しかし自分の家を持ち得ない人達は、何らかの手段で処理しなければならない。真っ先に思いつくのは保健所だ。もちろんゴミの日に出すという手もある。誰から責められるわけでもない。しかしペットに1ミリたりとも愛情を持っていなかったとしても、ちょっと気が引けるのではないか。
引き取ってもらえない保健所もあるので、電話で確認してみよう。保健所に持っていくメリットは、まず費用が安いことだ。無料のところもあるが、重量に従って課金されるところが殆どだ。デメリットは、骨が戻ってくることが少ない点だ。他のペットと合同火葬されるからだ。お骨を供養したいという人には向かない。慰霊塔を持っていて、年に一度供養祭をしてくれるといった心配りの利く保健所もあるが、まれな方だろう。
お骨をぜひ戻したいなら、民間のペット葬業者に頼む必要がある。
一番手軽なのが、移動火葬車で荼毘に付してもらう形式だ。「移動火葬車ってなに?!」という人も、焼き芋屋を見たことくらいあるだろう。車の中で火が燃えてたって全然不思議じゃない。おうちまでペットを預かりに行き、近くで停車して火葬し、そのまま骨壺に納めて家に持ってきてくれる。マイカーがなく、ペットを連れて火葬場まで行けない都会人にお勧めだ。ただ、家の近くで停車して火葬するといっても、近隣住民に抵抗感を与えない場所を選ばなければならない。けっこう難しい問題だ。火葬とか死体とかに慣れきっている私でも移動火葬車に出会ったら気味が悪い。
近所と不穏な関係になりたくないなら、火葬場に出向くのがいい。火葬場を持っているペット葬業者に頼むのだ。炉の前でのお別れがあるところが多いので、比較的ゆっくりと最後の時間を持つことができる。料金はやはりペットの重量によるが、1万円から10万円でやれてしまうところが殆どのようだ。移動火葬車も同程度。超大型犬だったら別だが、火葬のみなら、10万円を大きく上回るときは警戒した方がいい。嘘か誠か、火葬している間にどんどん値をつり上げていって「払わなかったら今すぐ炉から出すぞ」と脅す乱暴な業者もいるそうだ。つまり生焼けの状態で放り出すというのである。デマであることを祈る。
悪徳業者にかからないようにするには、見積もりをもらっておくのが一番、というのは基本のキ。そんなの危篤になってからでも遅くないと思うだろうか。あなたは肉親の危篤や不幸以外で急に休みを取ることができる環境にあるだろうか。有給がどんなに余っていても、仕事が立て込んで「今は休むべきでない」という時期は幾らでもあるだろう。しかし、生命は待ってくれない。ペットが死にそうなので休みます、と言えなさそうな仕事を持っている人は、やはり事前に考えておきたい。
さて、先ほど「1~10万円」といった。こちらは当然火葬のみの値段である。葬儀をするとなると、値段はピンキリのアイマイになってくる。宗派にこだわり、人間並みに送ってやりたいと思うのであれば、それなりのお金が必要だ。どんなスタイルで送るかによって、かかってくるお金が大幅に違うのがペット葬なのである。これから数回、ペット葬のスタイルについて記事をお送りする。(小松)
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