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2009年9月24日 (木)

アフガン終わりなき戦場/第23回 不正合戦のアフガン選挙(上)

 カブールの街中を街宣車が通り過ぎる。カルザイ大統領の選挙キャンペーンの車だ。街宣車と言っても、カローラにポスターを貼っただけのものだが、それが10台近く猛スピード走り抜けていく。これでは、どの候補者か確認できまい。そう思っていると、ISAFの装甲車がコンボイ(隊列)を組んで走り抜けていく。
 選挙と装甲車あまり関係が無いようで、アフガニスタンでは当たり前の風景だ。民主主義の具現的行為である選挙と、軍の装甲車。東京では異形だが、カブールでは当たり前。その風景が眼裏にある日本で行われる選挙と比較され、ぐらりと意識がゆらぐ。
 でも、それがアフガニスタンの選挙なのだ。

 先月20日に行われたアフガニスタンの大統領選挙において現職カルザイ氏が過半数を獲得し、続投という形になった。しかし、今回の選挙では2千件以上の不正が報告され、タリバンが選挙阻止を掲げて投票日には全国で120件以上の攻撃を行った。オバマ大統領は早々に「選挙の成功」をアナウンスしたが、本当に今回の選挙をアフガン人の民意を反映したものになったのだろうか。
 アフガン東部ジャララバードに住む部族長のシャキルさんは無邪気そうに言う。
 「私が代表の地区では、6割の人がカルザイ氏に投票します。カルザイ氏の選挙キャンペーンの人が地域の部族長を集めて説明会をしました。他の候補者も同様のことをしました。彼の『もてなし』が一番よかった」
 髭面のシャキルさんは、そう言ってわたしに茶とフルーツを勧めた。どんな「もてなし」が行われたのだろう。茶とフルーツだけでは無いような気もする。
 明らかに票の取り纏めだ。
 おもむろにシャキルさんは懐から3枚のカードを取り出した。投票するための登録票だ。
 「ほら、だから何回も投票をしようと思ったので、複数回有権者登録をしました。5枚持っていたのですが、何枚かは無くしてしまいました」
 同じ名前の書かれた登録票だ。この地域ではカルザイ氏は実数以上の票を得ることになる。戸籍や住民票が無く、人口統計すら無いアフガンでは難しいことでは無いと言う。
「これは不正ですよね」
「そう不正です。でも、みんなやっていることです」
 シャキルさんは一向に悪びれる様子が無い。
 立候補者のミワイス・ヨシニ氏は「選挙の不正の証拠がある」として、記者たちを集めて会見を行った。両手に投票用紙を抱え、「私に入れられた投票用紙が捨てられていた」と叫ぶヨシニ氏の鼻息は荒い。
「今回の選挙は完全な不正だ。選挙管理委員会と現政権は結託している。選挙をやり直すべきだ」
 米軍の侵攻に伴い、「選挙」という民主的な方法がアフガンに来て5年。「自分の支持する政策を実行する立候補者に投票する」ことに意義がある選挙という制度は、内実全く浸透していない。(白川徹)

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