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2009年8月17日 (月)

書店の風格/第38回 ヴィレッジバンガードマルイカレン店

 マルイヤング館がリニューアルして誕生した「マルイカレン」。その中に入った本屋さんは「ヴィレッジバンガード」。このビルのコンセプトを知らない人は、きっと意外に思うだろう。比較的小ぎれいなファッションビルである「マルイ」と、「遊べる本屋」を標榜するヴィレッジバンガードとでは、イメージが結びつかないからだ。
 「マルイカレン」のコンセプトは「ファストファッション」。ユニクロ、ローリーズファーム、ジャイロなど若者向けファッションの中でも比較的安価なブランドばかりを取りそろえているのだ。キッチュなお買い物を楽しめる空間に、ヴィレッジバンガードはしっくりとハマる。

 8階を陣取るヴィレッジバンガードは、お店の真ん中にエスカレーターが配置された個性的なつくりをしている。個性的なのはもちろんつくりだけではなく、商品の配置も面白い。ヴィレッジバンガードは本と雑貨のお店である。雑貨の中に本が混じっていても、またその逆があっても、基本的には本の棚と雑貨の棚が分かれているところが多い。しかしこのお店は徹底的に本と雑貨を混ぜ込み、あくまでテーマで商品配置を決めているのだ。
 エコグッズの棚にエコの本、お弁当箱や食器のそばに料理本があるのは当然だが、タバコや灰皿のコーナーに禁煙本があると多少「おっ」と思うだろう。ゴシックな洋服やウィッグのそばに夢野久作や澁澤龍彦、嶽本野ばらが置いてあると、その遊び心にうーんと唸ってしまう。極めつけはバスグッズの真ん中に一冊だけ置いてある『アンダーカレント』(豊田 徹也、講談社)だ。どうしてだろう? と一瞬首をかしげるが、そういえばアレは銭湯が舞台だった……なんて細かい!

 本だけを扱う棚ももちろんあるのだが、そこで目立つのは読書家のための本だ。まさに「本のための本による本棚」に徹しているのだ。若者向けには欠かせないコミック棚も工夫されてある。幅が狭くて使いにくい、エスカレーターの脇を有効活用しているのだ。通路になりがちな空間の壁一面に棚を設置して、コミックを並べてある。かなり通り抜けづらいので、もしかしたら立ち読み対策なのかもしれない。

 雑貨に紛れてそこかしこに散らばる本、本、本。「本は本棚に置いて売る」という概念が良い意味で崩壊している。これだったらお客も「本」ではなく「商品」あるいは「雑貨」を買う感覚で、手にとってくれるのではないだろうか。これこそ、本当の意味での「文脈棚」だ。もしかしたら今、日本で一番「本を売る気のある本屋」なのかもしれない、と思いながら店を出た。「姉さんも三十路っすね」「彼氏募集中!」と落書きされたバースディTシャツ(商品)にシンパシーを覚えつつ。(奥山)

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