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2009年6月21日 (日)

日曜ミニコミ誌!/小金井は宇都宮線だもん 9回目

 『小金井駅は宇都宮線だもん』。呟くような主張だが、これがミニコミ誌の名前だ。東小金井、武蔵小金井など「小金井市」のイメージが強い小金井だが、ズバリ「小金井駅」があるのは宇都宮線。たしかにそう。

 B級グルメやサッカーについてなど日常的な記事が多いのに、そこはかとなくハードボイルドな香りが漂う本誌。どんな思いをこめて作っているのだろう。編集人の河田ソム夫さんにお話を伺った。

ーーこの雑誌を作ろうと思ったのは、何がきっかけなんですか?

河田さん(以下K):ミニコミ自体は6年前からやってて、転職をきっかけに辞めてしまったんです。でもまた余裕が出てきたら、書きたい欲求が高まってきて。普通に仕事をしてるのつまらない、お給料も低い。何かライフワーク的なこともしたかった、と。
あとは普段、労働組合で活動をやっていて、機関誌の編集として硬い文章ばかり書かされているので、その鬱屈をミニコミにぶつけているという面もあるかと。エアポケットが欲しかったんですね。

ーーテーマが毎号変わりますよね?

K:テーマを入れるようになったのは7回目(7号)からです。発行元を「サムりゃい製作所」としていますが、「俺達は現代のサムリャイ(=侍)なんだ」という主張から始まってるんです。現代版侍というのは、ようは収入も人に誇れる何かもなく屈折しているマイノリティのこと。正式にいえば浪人とかでしょうけど……いや、浪人ですらないですね、腐っても武士なんだから。するとただの町人ですね、仕事もしないで昼間っから飲んだくれてるような。
 そのコンセプトを作ったのが7号で。刀持ってない、給料安いくせに酒ばっかり飲む、もてない、もててもネガティブだからすぐふられてしまう、成長期をとっくに過ぎてるのに大飯喰らい。しかも酒も飲むから燃費悪い。それが「サムりゃい」。

それから8号の「旅」を経て、新しく出た9回目(9号)のテーマは「子ども時代」です。僕の他に3人の方が自分の子ども時代について語ってくれました。一人だとどんどん視界が狭くなってくるから、他の人に書いてもらうのは楽しいですね。この雑誌は趣味もあってサッカーに関しての記事が多いですが、今回は「フットボールファン柴犬戦線」という連載に「格差社会の直中で」というテーマを入れてみました。スポーツ選手の年俸が何十億、という事実をどう思いますか。市民生活から全くかけ離れてるでしょう。スポンサーをみれば大手の会社が出資してるわけで、でも不況だといってその会社がバンバン雇用をきったりしている。リストラされた人がテレビ見て応援しているスポーツ選手をバカ高い年棒で支えてるのが、その人がもといた会社だったりするわけです。これだけセーフティネットの整備されてない日本で、我々がどう位置づけられているかが、特にこういった状況を見てるとはっきり思い知らされるわけですよね。
 あとは、「水曜どうでしょうごっこIN坂戸の街」という記事があるんですが、これは徹夜で飲み明かしたあとに埼玉県の坂戸駅に行って立ち食いそばを食べよう、という企画です。埼玉って地方のグローバルに流されてしまっている土地で、個人の店舗がチェーン店にどんどん押されてます。そんな激戦区に小さい立ち食いそば屋がある。個人経営の店舗を見てみたい、あとは何もなくて寂れた街だけどね、というのを書きたかったんです。

ーー60ページのボリュームで300円というのがかなりの衝撃なのですが。

K:原価割れしています。おおざっぱに考えると原価は400円位なので、定価を500円にすれば元は取れるんですが、敢えて300円にするところに自信のなさが現れています。趣味でやっているので、売上重視ではありませんしね。読んでくれてる昔からの知り合いも、お金のない人が多くってあんまり高くはできないという事情もあります。先号が200円だったんですが、それすらも出せないと。いたたまれなくて、結局差しあげちゃうことも多いです。

 ハードボイルドの匂いがしたのは、身近なところに社会的な問題を見つけて切り込んでいく河田さんの、ブレない姿勢があったからだと確信。こうなると、次回も楽しみだ。次回のテーマは「酒」とのこと。今秋に発行予定。

(■「小金井は宇都宮線だもん 9回目」60P 300円/A5判/模索舎・タコシェ・浦野商店・イレギュラー リズム アサイラムにて発売中)

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