冠婚葬祭ビジネスへの視線/第32回 フューネラルビジネスフェア2009に行ってきた
今年もフューネラルビジネスフェアの季節になった。といっても、一般の方々には何が何だかわからないに違いない。まず「フューネラル」という言葉がわからないに違いない。「ブライダル」は婚礼、「フューネラル」は典礼。そう、「フューネラルビジネスフェア」は、葬儀ビジネスの情報発信をする場だ。葬儀社との取引をこいねがって、祭壇屋・演出屋・衛生管理商品屋・遺影屋・骨壺屋などなどがPRする。今年は100を超える企業が一挙にパシフィコ横浜に集まった。
6月25日の9:30、入り口に続々と向かっていくのは地味なスーツに身を包んだ男性たち。こんな時間に堂々と抜けてこれるのだから、きっと偉くて暇な人なんだろう。実務をやってるぺーぺーは26日、友引の日を選ぶだろうから。
展示場に入って右側、一番最初に目に付く場所を陣取っていたのは意外にもアットアロマ。アロマ空間デザインに力を入れている会社だ。葬儀式場のデザインまでするということか。たしかに、安らいだ香りに包まれた式場はいいだろう。しかし線香の香りとの相性はどうなんだ? その辺を詳しくお聞きしたかったが、常にブースは満員でプレスの札を下げている私を相手にしている暇などなさげだった。きっとみんな同じギモンをぶつけているのであろう。
その他、伝統的な祭壇や仏具、柩などの展示が続いたが、特に珍しかったのは棺に敷く畳。「故人を棺に納める際、薄い布団を敷くとはいえ板の上にお休みになっていただくのは少々気が引けますよね。これは本物のい草でできていますから、実際の畳の触感です」と、社員の方。
たしかに気になってはいたのだ。故人を棺におろす際の、ゴツッとした感触。あれはなんとかならないだろうかと。なるほど畳を敷けば、少しは暖かみが出そうだ。でも、重くないんだろうか?
「細長い畳を二枚使っていただきますが、両方合わせて3キロほどです。炉に入れても残留物を出すことはなく、新潟の火葬場で実際に焼き、使用可の証明を頂きました」
3キロというと重いと感じるかもしれないが、それに平均して60キロの人間が乗っかるのだ。持ち上げるときに極端に重さが変わるわけではない。
「棺の中に敷くだけではなく、和室式場の演出などでも使っていただいてます。畳の部屋でちょっとした段差を出したいときなどに便利です」
畳の部屋での難点というと、私の方でも思い出したことがある。自宅葬の際だ。香炉の下の畳は、訪問客がうっかり線香を落としてしまうことがあるのでどうしても焦げ付く。初七日が終わると、座布団で始終隠していなければ格好が付かないほどになることもある。一段高い演出も出来て、本物の畳のカバーにもなるなら一石二鳥だ。これから重宝がられる商品になるだろうと思えた。
他にも「おくりびと」から生まれた遺体専用化粧道具や(これが本当にオシャレで欲しくなってしまった)、静岡県警からも支持を受けたという遺体保全剤、トヨタ「レクサス」改造型の霊柩車など、葬儀業界は活発だ。出版はどうだ、と思うと暗い気持ちになってしまった。7月に行われる「東京国際ブックフェア」に期待したい。といっても、どうせ元気なのは携帯コミックとかデジタルパブリッシングなんだよな……(小松)
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