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2009年6月20日 (土)

ロシアの横暴/第18回 ロシアで吹き荒れる「さらし首」(上)

 近ごろ都ではやるもの、三条河原にさらしくび・・ある浄瑠璃の有名なくだりだが、今回の場所は三条河原ではなく、最近のロシアである。
 ロシアのある町のある人が、といってもごく普通の市民が手作りミニコミ紙をつくった。そこにチェチェン関連サイトから抜き出した記事を転載した。影響力など何もないミクロミニコミ紙である。しかしこのことが摘発され、その人は6年間のブタ箱入りとなった。インターネットサイトから記事を抜き出して転載しては「著作権」にふれることは確かだが、著作権などあってないようなロシアでなぜ急に?と思って続きを読んだら「テロリスト支援をした」からだという。

 またある報道によればメドベージェフ大統領は広く国民の声を聞くとかでブログを開設したそうだ。最近の大統領は地方自治体首長のクビ切り、すげ替えに忙しそうだが、一方ではソフトな雰囲気を漂わせている。大統領のこうした動きを「プーチン首相との権力争いの一環」とみるむきもある。おそらくそれは当たっている。しかし、それだけに目を奪われていると(ロシアに限らず日本にも言える。権力争いは国民の暮らしとは別のところにある)別の危険を見落とすことになる。

 地方自治体首長首切りの発端になったのは、言わずと知れた世界的規模の経済危機で、傾いた地方自治体や企業のうち、大統領に「無能」と判定された首長や社長を対象にしている。今回は国産自動車保護政策で大打撃を受けた極東地域に首切りの嵐が吹き荒れている。
 昨年からの世界規模経済危機でどこの国も大混乱に陥っていることは周知のとおりだが、ロシアの経済危機は今に始まったことではない。ずっと続く経済危機をロシアは強権体質で「乗り越えて」きただけのことである。
 ソ連崩壊後の経済危機のときには「自由市場」や「共産主義撲滅」というニンジンをぶらさげ、すり寄る西側諸国に対外債務を棒引きさせることで切り抜けた。停滞の時代(ソ連末期)に崩壊してしまった各産業、特に農業についてはいつまでたっても改善されず、かなりの部分を輸入に頼ることになってしまったのだが、その食料輸入代金を払えず(払わず)「戦闘用ヘリコプター」で支払いに代えたのはつい2、3年前のこと、プーチンのロシアが栄華を誇っているころだった。
 経済危機を乗り切るのにはこのほかにソ連式ハッタリ法がある。つい最近サンクトペテルブルクに新しい自動車工場がオープンした。派手なパフォーマンスを繰り広げ「ロシアにはいかなる経済危機も通用しない」と強調する、ソ連を知る人にはおなじみの手法である。強権だけではもはや乗り越えられないほどの経済危機に陥っているのだ。(川上なつ)

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