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2009年4月26日 (日)

日曜ミニコミ誌!/パンクなスパイスを日常に 『Kathy zine』

 最近、模索舎様にお邪魔したときに「売れてるよ!」とすすめられた『Kathy zine』2号。鮮やかな緑色に外国産のネコの写真をあしらった表紙が印象的で、輸入物のファンジン(好きなアーティストについて綴るミニコミ誌)を彷彿させる雰囲気。ページを開くと、一瞬にして北欧の少女の部屋にトリップしたような気持ちにさせられた。繊細にして強い意志の感じられる文章。この雑誌を作ったのはどんな人達だろう? すぐにコンタクトをとって、メール形式での取材をお願いした。

Kathy_zine 写真は2号(2008年10月発行)。
創刊は2007年3月。
1、2号ともに500部ほどの発行部数。
作っているのは、チームキャシーの3人(ミャーザキさん、ダーティさん、バニーさん)。
このたびは、ダーティさんが応じてくださった。

-まずは、このzineのコンセプトを教えてください。

 北米のパンク・カルチャー(特に90年代初頭のライオット・ガールとクィア・パンク)のファンジン。とにかくファンなので楽しくやっています。 雰囲気としては、口に出すだけで笑みがこぼれてしまうようなバンド名を考える気持ちで。例えば、これは実在するバンドの名前ですが、“ポンポン・メルトダウン”(「ポンポンがシュワーと溶けていく」っていう意味)みたいな。

-このzineを作ろうと思ったきっかけは、なんですか?

 ひとつには自分たちの思うパンク・ジンを作ろうと思ったから。たとえばアーロン・コメットバスという人が作るジン『コメットバス (Cometbus)』はあこがれのジンのひとつです。このジンは80年代初めにカリフォルニアのハードコアパンク・シーンを紹介するファンジンとして始まったのだけど、年が経つに連れて次第にレコード・レビューやインタビューなどが無くなっていき、広くパンク・シーンに住む人たちのライフスタイルについてを日記のような形式で語るようになっていった。つまり何が言いたいかというと、音楽のジャンルとしてだけではない、もっと広い意味でのパンクを考えたかった。ジンはもっともわかりやすい形でそういった日常的な題材が扱えると思っています。日本にもその名も「Expansion of Life」というジンがあって、その内容にもまさにこのような姿勢がはっきりと表れています。なんていいタイトル!

 もうひとつには、自分たちが興味を持っていることを同じように好きな人と知り合いたい、もっと友だちが欲しい、と思ったため。そして、「これを見た人たちが〈何だこれなら私でもできる〉と思ってくれてそして実際に始めるため」(これはザ・パンクスというバンドの言葉)。実際に、Kathy zineは発行部数の少なさの割には(皆さん、まずは見つけてくれて本当にありがとう)、たくさんのリアクションをもらっている幸せなジンです。手紙やメール、手作りの物を送ってくれたり、感想をジンにしてくれたり、「私もジンを作ってみたい」と言ってくれたり、そしてとうとう(私たちのなんかより全然すごい)ジンを本当に作っちゃったり。そんなの信じられる? 

-私の手元には2号があるのですが、海の向こうの人についての特集が半分、私的ネタ半分というスタイルがたいへん面白いと思っています。構成はどのように決めるのですか?

 3人の日常生活のおしゃべりの中から何となく特集が決まる。そのあと、1人がいばって仕切ろうとするが実際には誰も言うことを聞かず、それぞれが好きなことをやる。だから出来上がってみるまで自分以外の2人が何をしているのかほとんど知りません。構成されているように見えるとすれば、それはすごい奇跡、嬉しい!

-とくに2号後半のzine特集は、いままで日本では見たことのない分類と紹介の試みだと感じています。どなたが企画され、どのように資料を集めて、書かれたのでしょうか? 

 2号では、1970年代以降のパンク・カルチャーから生まれたジンの歴史を年表風にたどっています。この号で特集したミシェル・ティーという作家は、いわゆる文学シーンから出てきたのではなく、ジンの歴史から生まれてきたような人。内容にもスタイルにもそれが反映されていて、彼女のバックグランドを知ったほうがより作品を楽しめると思って作りました。ティーは前述したコメットバスのような、生活全般に拡張されたパンクをまさに体現している作家なので。あと、このページはチーム・キャシーのミャーザキ君が単独で作ったページです。

-日本人離れしたレイアウト感覚が素晴らしいと感じます。どなたのレイアウトなのですか?

 私たち3人の中には、特にDTPを勉強したり得意としている者はいません。Kathy zineの2号については、自分の執筆したページのレイアウトを各自が担当しています。他の2人は苦手なコンピューターを使って悪戦苦闘しているようですが、私(ダーティ)はそれはあきらめ、いつもはさみとのりを使って手で作っています。もともとポートランド(ジンン・カルチャーが盛ん)でよく作られているような切り貼りのジンが大好きだということもあるし、私たちのようにコピー機で刷る場合には切り貼りレイアウトのほうが断然いい感じになると思っています。

-最後に、次号のPRなどありましたら、お願いいたします。

 Kathy zineの3号についてはまだおぼろげな形しか見えていません。それぞれが他のジンを作ったり、友人のなみちゃんの作る超絶下品ロマンティック・ジン「Romangetic Island」なども発行していますので、ウェブサイトをチェックしてみてください。(http://www.popdrome.com/)  また、Sweet Dreamsという日本のインディ雑誌にも書かせていただいているのですが、チーム・キャシーのページがいちばん退屈なんじゃないかなーと思ってしまうほどすごく魅力的でユニークな雑誌なので、ぜひ! あと、全然自分たちが関わっているわけではありませんが、『てくてくBoo zine』という日記風ジンは本当にすばらしいです。これを作っている石川彩矢さんは、まさに日本のアーロン・コメットバス! 皆さんぜひ!

(■1号 A5判、88頁、300円。2号 A5判、92頁、500円。Lilmag store、irregular rhythm asylum、模索舎、ガケ書房などで入手可能。「常に置いてもらっているわけではありませんので、在庫についてはお直接問い合わせください」とのこと。連絡先は→info@popdrome.com
(奥山)

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