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2009年4月13日 (月)

書店の風格/第31回 紀伊國屋書店国分寺店

★★★★★★★★

 連載の前にちょっとコマーシャル。
 塩山芳明の新刊『出版奈落の断末魔 エロ漫画の黄金時代』が、なんと!

東京堂書店 週刊綜合ランキングで第2位!!
(4月第一週)

三省堂書店神保町本店 人文・社会棚で第2位!!
(業界紙『新文化』4/2付)

となりました。
大きな展開をしてくださっている紀伊國屋書店新宿本店様、サブカル本のお取り扱いでは右に出るお店はないであろう中野・タコシェ様でも、たいへん良い売れ行きです。
大胆なタイトルなのに並べてくださった書店様、お買い上げ下さった皆様、本当にありがとうございます。
これからも、精進いたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます!

コマーシャルを終わります。

★★★★★★★★

 「客足のとぎれない店」というと、皆さんはどんなものを想像するであろうか。
 行列の出来るラーメン屋さん? 限定スイーツが話題のデパ地下?
 「客足のとぎれない本屋さん」があるのだ。
 それが紀伊國屋書店国分寺店である。

 紀伊國屋書店国分寺店は、国分寺駅の改札を出て目の前にある「国分寺エル」という駅ビル内の書店だ。「エル」は服飾雑貨のテナントが多いビルで、さらにマルイと繋がっているため、国分寺一番のショッピングスポットとして機能している。そのなかにある唯一の書店が、ここなのだ。

 通常、出版社の営業マンが書店にお邪魔して担当者にご挨拶したいと思うとき、アポを取っていなければ店内を探して本人に声をかけることが出来ればラッキーだ。でもどうしても、そうは行かないときがある。お目当ての担当者様がレジに入っているときだ。
 そんなときはレジのお客がすっかり引けるまで待って、声をかける。
 ご本人が見あたらないときは、レジにいる人を避けて、声をかける。
 そのどちらも滅多にかなわないのが、このお店だ。

 なぜかというと、レジの前からお客がいなくなる瞬間がほとんどないからだ。平日の昼間、他のお店ならば比較的すいているような時間帯も、レジ前には行列が出来ていて、店員はみなレジ中に集中している。「ちょっと待とう」が「1時間後にまた来よう」になり、「また今度来よう」になってしまう代表的なお店だ。あまりに声をかけるのがつらくなってしまう。国分寺市民は全員このお店で本を買うよう義務づけられているのではないかと思いたくなるほどの混みようなのだ。

 このお店はどうしてこんなに人気があるのか? たしかに立地条件はよい。大規模な書店さんが国分寺には少ない。でも書店自体はたくさんあり、雑誌やベストセラーならそちらで間に合いそうだ。何故なのか。それは、この書店のバランスの良さにヒントがあると思う。

 まず、お店の入り口には新刊、ランキング本がずらっと顔を見せて並んでいる。ふつうならショーウィンドウにしたい豪華な設置だが、それをしない。お客様が直接手に取れるようにしてある。中にはいると、一般的な書店よりも見晴らしのいいことがすぐに分かると思う。棚の高さが、若干低めなのだ。そして横長の空間の、中間地点に入り口が位置するので、どのフロアに行くにも億劫さを感じない。見渡せば全体がすぐに把握できる程度の規模というのも魅力である。

 そして見たところ、どの棚も収集に偏りがない。文芸書、ビジネス書、人文、学参、文庫、児童書、どこを見ても平均的な品揃えで隙がないのだ。国分寺はホームタウンである。一般のお客さんが何を好むか、どこに何がどの程度置かれるのがよいのか、考えた末の平均値なのであろう。文具にたとえると、使い勝手よく手放せないボールペンのようだ。凝ったつくりの万年筆には最初は心躍っても、リピーターにはならない。

 書店激戦区の中央線西側で、生き残っていく術を見せられたような気がした。(奥山)

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