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2009年3月17日 (火)

●サイテイ車掌のJR日記/JRで出勤、JRで勤務、JRで帰る

○月×日
 もう春です。
 爽やかな風の中を今日も出勤する。家からJR八王子駅まで徒歩7分で着く。私の前を行くちょっと太ったおばさん。60才ぐらいか。やけに急いでいる。走っては歩きの繰り返しで、お尻が左右正確に揺れている。まるでアンダンテを刻むメトロノームみたいだ。結局、駅に着いたのは普通に歩いていた私の10メートル先ぐらい。なんだかな~。
 駅に一歩足を踏み入れると、まさしくそこは私の会社だ。知っている駅員も多い。なんだかもう出勤してしまったような気分になってしまう。だからこの時点から勤務時間に入れてほしいといつも思う。
 東京行きが来る。いつもの中央線だ。あぁ、見飽きた、乗り飽きたな。これこそ間違いなく私の職場だ。せめてこの時点から勤務時間にカウントすべきだ。「ナニいってんだ」と相手にしてもらえないだろうけどね。5分もしないうちに次の駅、豊田に着く。
 電車を降りてエスカレーターに乗る。私の前を行く女子高生がミニスカの尻を手で押さえている。おれがガードしているのだからその手を離せよといいたくなる。その女子高生はエスカレーターを上り切ったすぐ脇にあるトイレに入っていった。なあ~んだ、漏れそうだったのか(おいおい違うだろ)。
 尻の話が2つ出たのは偶然でタマタマだが、話が尻つぼみにならないように気をつけたい。尻上がりで行かなくちゃ。
 さて、駅を出ると目の前にド~ンと職場がある。1分で着く。客待ちのタクシー運転手が堂々とマンガ本を読んでいる。いいのかなぁと思いながら、職場手前にある交番のおまわりとはなぜか目を逸らして職場に到着する。
 職場は4階建てだが、ホーム上につくったため一階はホームだから、ない。2階が主な執務室、3階が会議室と更衣室、4階が寝室となっている。まず、玄関すぐの2階しかないエレベーターに乗る。当初は、乗ると「行き先階ボタンを押して下さい」との音声が流れていた。1階で乗れば2階(2階なら1階)と決まっているのにそれはないだろうと思っていたら、誰かが指摘したのか、最近では「上へ(下へ)まいります」のみに変わっている。ただそれだけなんだけど。
 エレベーターを出て3階に直行。整服に着替える。2階に下りて点呼などを済ませると、いざホームに出場。乗務の開始となる。今日は仕事の話は抜きだな。天気もいいし(ん!? 最近はいつもだってか~)。
 昨日までの事故など何もなかったかのように快走する中央線。しばらく行くと、とある駅のすぐ近くに煙突のあるピザレストランがある。いつも繁盛しているみたいだ。看板には「薪で焼く、石釜本格ピッツァ」とある。しかし、私は未だかつて煙突から煙が上がっているのを見たことがない。
 そして、武蔵小金井駅。発車ベルを鳴らし終えると「ドアが閉まります。ご注意下さい」と駅の自動放送が流れる。その後、絶妙のタイミングで「次の電車をご利用下さい」と。これには私達車掌も助かる。全駅にしてもらいたいが、どういうわけかこの駅だけしかやっていない。ま、駆け込む人はそんなのお構いなしなわけだけど。しかし、ふと思った。終電だったらど~すんだと。初電まで待てってか。で、注意して聞いていたら深夜帯はしっかりカットされていた。当たり前だけどね。

 あれま、ついうっかり仕事の話をしてしまったな。でも、この程度なら許せるだろう。

 ホーム上や沿線では手を振るチビッコが本当に多い。「車掌さ~ん、バイバ~イ」とやるわけだ。バスやタクシーの運転手、パイロットにだって手なんか振らないだろう。「いやあ、おれも人気者だなぁ」と勘違いを承知で、私はちょっと照れながらも白い手袋で必ず振り返す。喜ぶんだな、これが。子どもがなりたい職業に車掌がないのが不思議なくらいだ。
 そんなわけで、私は時々、普段私服で電車に乗っている時にハラハラドキドキしてしまうことがある。それは、小さな子が、大きな声で、「ほら、ママ、あの時の車掌さんだよ」といわれはしないかということだ。そうなのだ。なぜかそれは全くない。これも不思議でしようがない。
 そんなこんなで今日も無事に終了となる。

 会社も乗せてくれるよ、まったくなといつも思う。もうヘトヘトだ。でもたいしたことはない、これくらい。

 行けども行けども中央線。当たり前だが、駅、駅、駅だ。来る日も来る日も同じことの繰り返し。振り返ればあっという間の30年。乗務キロは1日約250キロ。いったいこれまでに地球を何周したことになるのだろう。くたびれちまって計算する気にもなれないよ。さぁ、帰ろう。仕事が終わってもまたJR。今夜のウィスキーが待っている。(斎藤典雄)

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