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2009年3月29日 (日)

鎌田慧の現代を斬る 派遣業化するトヨタの組合

 不況が深刻化しているなか、トヨタグループの春闘は定期昇給こそ確保したが、ベアゼロで終わった。しかし、これも正社員の話である。
 昨年、トヨタは契約期間が1年を超えた期間従業員を組合に加入させた。組合に加入することで労働者の一体感を狙うなどともぶちあげていた。しかし会社側との労使協調路線を伝統とするトヨタ自動車労働組合が、非正規従業員の権利をどこまで守るのか疑問に感じてきた。その結果がでた。
 なんと組合は期間従業員の再就職支援に乗りだしたという。組合に加入したのだから、当然、組合費を徴収したはずだ。そのお金を使って会社側と闘うわけでもなく、無料の職業紹介事業をはじめるというから驚かされる。「無料」とはうたっているが、月々組合費を徴収していたことを考えれば、悪名高い派遣業となんら変わりがない。これまで非正規労働者を正規雇用にするよう自社に要求してきたなら別だが、組合費だけ取って雇用の危機になにもせず、いきなり派遣業になり変わるのだからサギである。
 どうしても自社で雇えないなら、せめて組合として独身寮を開けさせて住居だけは確保させるなど、少しは労働者の立場に立って活動すべきだ。そのようなこともせず、ただ仕事を紹介をする(どれだけ実績を上げるのか)だけなら見栄えのいい「クビ切り団体」でしかない。
 トヨタ自動車は現場の3分の1を期間工でまわしてきた。しかし期間工と派遣労働者がいること自体、「同一労働、同一賃金」の観点からみるとおかしい。労働者である限りおなじ仕事をしたら、おなじだけの給料がもらえるのが当たり前だからだ。非正規労働者の地位を引き揚げる必要がある。
 ところが不景気のなか、「同一労働、同一賃金」のスローガンは、正規労働者の賃金を引き下げることに使われかねない状況となっている。
 労働時間の短縮で仕事を分かち合い、より多くの人を雇用するワークシェアリングも、生産調整と賃金減らしに使われている。それが証拠にワークシェアリングで賃金を抑える例は増えていても、非正規雇用者の待遇が改善されたという報はほとんど聞かない。
 結局、不況のドサグサに紛れて経営者はいろんなことを労働者に押しつけているのだ。労働者は受難の時代となった。
 こうしたなか、奥田碩・トヨタ自動車相談役が外国人の受け入れと社会統合に関する国際シンポジウムで講演し、入管法改正で日系人が急増した問題に触れ「理念のないまま間口を広げた状況で、望むべきではない(状況だ)」(『毎日新聞』09年3月1日)と語った。それが分かっているなら、少しでも「カイゼン」に努力すべきだろう。
 豊田市の保見地区ではトヨタから契約を打ち切られた日系人が4000人以上も住んでいる。食べることも、子どもを教育することもままならない日系人の救済は、ボランティアに任せきりだ。原因を作った企業の相談役が高みから「望むべきではない」などと語っている場合ではない。
 きれい事をいっても救う気はない。それがトヨタをはじめとする大企業経営者の実体である。だからこそ労働者は連帯、団結して闘う。そのことが生活を守るためにいまもっとも重要になっている。団結ガンバロー!(談)

全文は→「4.pdf」をダウンロード 

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