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2009年2月 9日 (月)

書店の風格/第28回 ブックファースト新宿店

 昨年秋に完成したばかりの「モード学園コクーンタワー」は、ハードな鉄骨が生み出す滑らかな曲線が美しい、独特の雰囲気を持つ建物だ。クリエイティブな人物を世に送り出す専門学校の地下に、書店がある。ブックファースト新宿店は、1090坪・90万冊という広大な売場を持つ、新宿屈指の書店として生まれた。

 B1、B2、2つの階からなる。B1は雑誌をはじめとして、文芸・ノンフィクション・文庫・新書・実用書などのフロア。新宿駅西口直通の入り口から入ると、広大な雑誌フロアが眼前に広がる。入り口は女性向けのファッション誌やライフスタイル提案誌など。奥にメンズの雑誌、デザイン誌、洋雑誌が並んでいる。特筆すべきはリトルプレス(いわゆるミニコミ誌)とバックナンバーのコーナーで、リトルプレスはじつに100タイトル程度を揃えている。特に旅をテーマとした雑誌は豊富で、ほぼ手作りで作る本の運命(早めの風化)をすこしでも遅らせるために、見本誌以外は袋をかけているのも素晴らしい。それはバックナンバーコーナーにも言えることで、かなり過去のものまで揃えており、ただならぬこだわりを感じさせる品揃えだ。

 更に奥に進むと「実用提案棚」というものがある。何を意味するのかと見てみると、衣服の作り方・オシャレで本格的な料理のレシピ本・簡単な雑貨の手作りを薦める本などなど、生活に関するものを自分で作ってゆくライフスタイルを提案する本の棚である。柔らかで気品あるデザインに薄く贅沢な装丁と、女性の好みをつかんでいる本たちの集合体。実用書のなかで、とうとうこのジャンルが一歩抜け出したのかと、一種の感慨すら覚える。
 そして文庫棚は、POPの嵐だ。面で置かれている文庫棚に飾られたPOPは32枚。ラミネート加工のうえでのハサミ処理で、一枚ずつの手作りであることがわかる。32枚ってそんなにインパクトのある数字ではないから、読者の皆様にはピンと来ないかもしれない。しかし読み込まなければ書けない文章が掲載されての32枚。二週間後、いやもしかしたら一週間後にはその文庫がその位置にはもうないかもしれない、それが大手書店の事情だ。その事情を踏まえた上での32枚。担当者の意気が伝わってくる。

 同階には既存の分類にとらわれることのないテーマで区切られている棚が多く、その意味でも大いに楽しめる。「映画・ドラマ原作棚」、「サブカル研究者棚」などは、普通の書店ではまず見ない。見たとしてもフェア棚の一環としてである。常設の棚であるのが面白い。
 フェア棚もプラスチックプレートで「フェア」と名づけられているものは他の書店ではめったに見かけないだろう。今のフェア棚で注目したいのは、宝塚関係の本を集めたコーナー。「手作りの家」に特化した本を集めたコーナー。どちらも、企画者ののびのびとした感性を感じることができる。

B2はビジネス書と社会・人文書のフロアだ。ぐっと落ち着いた雰囲気になる。労働問題、倒産法、新しい生き方……今の世相をダイレクトに反応した本がこれでもかと並んでいる。いつか、明るい前向きな本ばかりが並ぶ日が来るだろうか。これから春になるけれど、棚の暗い印象は変わる気配がない。ガンバレ、資格・試験棚!!(奥山)

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