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2009年2月15日 (日)

ホテルニュージャパン火災後の廃墟/第27回 奇跡的に残ったコップ

20a_5  前回と同じ場所で、カメラを縦に構えて写した写真である。不思議な存在感を放っているのはガラスのコップだ。
 ホテルニュージャパンの火災に詳しいKBさんは、このコップは奇跡的に残ったものだと説明してくれた。
「ガラスは通常1000度程度で溶けてしまいますが、ニュージャパンの火災では室内温度は1000度を超えていたとみられています。コップの後ろにあった鏡は熱で割れていまし……。そのうえ天井から、さまざまなものが落っこちてきていたはずです。1つでも当たれば床に落ちて割れていたでしょう。残った可能性として、水が満たされていたかもしれませんね。コップに蒸発した筋が見られますし…」
 木造住宅の火災でさえ800~1000度を超える高温になるといわれる。ホテルニュージャパンでは天井の内装材が熱分解してガス状になるなどの状況も報告されており、さらに高い温度だった可能性が高い。つまり通常なら溶けてしまう品なのだ。
 また、コップが置いてある陶器の棚の左端が天井からの落下物によって欠けている。
 歯でも磨いたのであろうか。残ったコップは部屋に泊っていた人のわずかな痕跡を感じさせた。熱で焼き尽くされた9階では、こうした人の息づかいの聞こえる品に出会うことさえ難しい。
 奇跡的に残ったコップは、あらためてニュージャパンの火災の恐ろしさ感じさせた。(大畑)

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