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2008年11月 2日 (日)

日曜ミニコミ誌!/おひとり様の「老後」ではなく、「今」に効く 「どくろく」

11  「愛情通信」ヨンコさんから「面白いですよ!」と薦めてもらった一冊のミニコミ、それが「どくろく」だった。タイトルが不思議だが「どくしんしゃによる どくしんしゃのための ろくでもないざっしです」とある。なるほど縮めて「どくろく」か。中をめくると「特集・ひとり週末ガイド」「実録ひとりクリスマス」など、徹底してお一人様にスポットを当てているのが面白い。ぶっ飛んだテーマとは裏腹に、知性溢れる文体も魅力だ。早速、編集人のあらみさんにインタビューを依頼した。雨の中、九段下駅まで来てくれたあらみさんは、一見真面目な「オトナの女性」。話しぶりも社会人としての礼儀正しさがにじみ出ていて、このような個性的なミニコミを作っているとは思えない。どういった経緯で雑誌を作ろうと思われたのだろうか?
 早速近くのスターバックスでお話を伺った。

--こういったものを作ろうと思ったのは、何がきっかけなんですか?

あ:2006年のことになるんですが、お酒がらみで大失敗したんですよ。酔っぱらってしまって失敗したということが2度続きまして。で、これはダメだな、と。自分は、ダメな人間なんだ、と思ったんです。人間としてかなりでかい穴があるイメージなんですけど、でもこの穴を掘ったということは掘ったぶんの土がそばにあるわけで、その土で何か作れば、穴の方は目立たなくなるんじゃないか。そんな風に思ったんです。それが「何か作ろう」と思ったきっかけですね。

--なにか作るとすれば様々な表現方法があるわけですけど、そんな中で雑誌という形態を選んだのはなぜですか?

あ:いろんなミニコミ誌が集まる文学フリマというところに行ったのがはじまりでした。
皆さん魅力的な雑誌を様々作られてるんですが、やはりプロが作るわけではないので、普段見かけるような雑誌の美しさはないですよね。でも、内容はものすごく面白くて、こういう物を私もやりたい! と思ったんです。内容は、酒で失敗したことがネックになっているので私と同じような境遇の人、独身で、酔っぱらってやらかしちゃうことが多くて…という人が読むようなものにしたんです。

--酒の絡んだ記事、多いですね。こちらに2号があります。例えば「飲み過ぎ寝過ごし終着駅サバイバル」という記事がありますが、こちらはもし寝過ごして終着駅まで行ってしまったらどこで夜を明かすか、というガイドですね。

あ:こちらは読んでくださっている方にも人気の記事なんです。終着駅でしかも夜中って、本当に何もないところが多いじゃないですか。2号は東葉勝田台編でしたが、1号は高尾と青梅編で、高尾には何回も漂着したことがあったんですが、青梅には行ったことが無かったんです。それが記事を書いた後日、本当に青梅まで行ってしまったんですよ、酔っぱらって寝過ごして。初めての経験だったんですけど、思わぬところで自分の書いた物が役に立ちましたね。取材したとおりに、タクシー乗って漫画喫茶行って、そこで過ごしました。3号では千葉方面を攻めようと思っています。実際に最近また千葉の方へ行ってしまって。それを元に書こうと思っています。

--そして次の記事も酔っぱらいにお役立ちな「白タクさん密着インタビュー」。白タクって、どうやったら乗れるんですか?

あ:終電時間に終着駅付近で路線図を見ていたり、キョロキョロしている人というのを捕まえるんだそうです。私もそうやってキャッチされました。そして2~3人、そういうお客を集めて乗り合わせをさせるんです。私の場合、2回お世話になって、しかも2回とも同じ人たちから声をかけられたので顔見知りになれて、インタビューの運びとなりました。

--9200字ということで、たっぷり書かれてますよね。白タクにここまで密着して(というか、客として乗って)事情を聞き出したって記事は、なかなか見ないですよ。会話内容も、すごく詳しく載ってるんですが…

あ:了解を得て、録音しています。実は、インタビューさせていただいた運転手さんにまだ「どくろく」を渡せてなくて。記事にしたのに渡せてないっていうのは気がかりなんですが、渡すためにはまた終電時間に終着駅まで行ってウロウロしないと、と思うと(笑)。でも、本当に渡したいとは思っているんですよね。「そろそろ白タク辞めたい」とおっしゃってたので、早くしないと。

--他にも「孤独死NOW」など、ひとり感たっぷりの企画が充実した2号ですが、第3号はもう進行してるんでしょうか?

あ:本当はこの秋にある文学フリマに間に合うように作りたかったんですが、3号は詰め込みすぎな感があって、間に合うかどうか…。実は他に作っているフリーペーパーもあって、中央線の窓から見える些細な情報を載せているんですが--例えばあそこの柿の木の柿がなりました!とか、あそこのネオンが切れてます!とか、すっごくくだらないんですけど--そういうものを一週間に一度出しているんですが、それを夏にまとめて冊子にしたんです。それを、3号が間に合わなければ2号と一緒に出品しようかな、と思っています。

3号にさらに期待したい「どくろく」は、模索舎、タコシェ、バサラブックスで売っているとのこと。1号が250円(在庫無し)、2号が350円。(聞き手:奥山)

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