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2008年10月11日 (土)

書店の風格/第21回 書店人に、とくに注目! オリオン書房ノルテ店

 今まで何故この書店を紹介しなかったのだろうと思うほど、重要な書店様である。立川市という立地を活かして駅前に大型店舗を二つ(ノルテ店、ルミネ店)、中型店舗を二つ(サザン店、アレア店)構えるこの書店は、なんといっても働いている人が素晴らしい。どの店舗に行っても、私のようなしがない小出版社営業の話を快く、しかも熱心に聞いてくださる。まるでこちらがお客だと錯覚してしまうほどの丁寧さであるが、それは徹底的に間違っている。新刊が出る度に置いていただいて、例外なく売れ行きが悪く、真っ先に頭を下げに行かなければならないのに月に一度行けるか行けないかという不義理を働いているのはこちらなのだ。感謝の気持ちとお詫びの気持ちでいつも押しつぶされそうになりながら中央線(特快が速くてよい)に乗る私がいる。実際にはスーツにネクタイのおじさま方に押しつぶされている。

 ノルテ店のSさんは、都内でも抜群に目利きの書店員さんだ。ふとハードカバーの小説の帯を見ると、よく書評員として登場している。お客様にも版元にも本当に親切な、カリスマ書店員さんである。彼の作る棚は魔法にかかったかのごとく美しい。普通の書店ならば敬遠してしまいそうな文芸の翻訳書も豊富で、丁寧に区分けされている。装丁の美しい本の選定も素晴らしい。凝ったつくりの仕掛け絵本もたくさん揃えてあるのが面白い。Sさんは長らく文芸書の担当をされていたが、最近人文系の棚に担当替えになった。
 人文棚のお隣、社会系の棚を担当しているAさんも長らく弊社のご意見番である。といってもご本人はそれをきっとご存じない。弊社の本はほとんどがノンフィクションなので、新刊の企画が出る度にコンセプトやあおり文句などのご相談に上がるのだが、穏やかに話す言葉一つ一つに重みがある。カンばかりではなく「今こういった本が売れているから」という、書店員さんにしか会得できない感性と論理を働かせてくれる。あまりに的を得ているので、「参考にします!」と言いながら、たくさんの意見をまとめる際にかなりウエイトをかけてしまうのだ。
 ご意見を聞いておきながら、それを活かした書籍がまだ出ていない。最近年一冊ほどのペースでしか本を出せていないためだ。なかなか企画が進まず、毎回「残念ながらまだ出版の目処が立ちませんで……」と言ってしまっている。前回お邪魔したときは「残念ながら『記録』が廃刊になってしまいまして」と言う羽目に陥った。Aさんの中で「残念な営業」としての地位を確立しているであろうと思うと、残念でならない。
 神保町や早稲田界隈の書店がいちばん、と通われている方にご提言したい。それも確かに素晴らしい、しかし立川市だって隅に置けない。というか、東京の本好きならば一度は行かねばモグリだとすら思う。遠くても是非と薦めたい本屋さんだ。規模の大きさはもちろんのこと、書店員さんそれぞれの、輝きを放つ働きぶりを見てほしい。棚の一つ一つにまで、「本が好き、本が大切」という思いが溢れているから。(奥山)

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