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2008年10月 4日 (土)

書店の風格/第20回 耕棚の達人~三省堂書店神保町本店~

 書店の風格も、今回で20回目となる。記念して言わずと知れた「神保町のマドンナ」(命名:奥山)三省堂書店神保町本店を恐れ多くも紹介させていただきたい。

 古書の街・神保町にあって燦然と輝く日本有数の新刊書店。店内に入ると、まず「本日の勝負本!」とでも言うかのごとくに平台が特設されている。めぼしいモノはないかと思いながら書店に入るのが常の人であれば、その目的が一秒で叶ってしまうだろう。それほどまでに多くの人が「めぼしく」感じる事のできるラインナップが、ここには詰まっているのだ。そしてふと左右を見れば、コンシェルジュが厳かに佇んでいる。コンシェルジュが常に固定の場所にいる書店なんて、数えるくらいしかないだろう。そして正面を向けば雑誌棚が並び、奥にはフレッシュな文芸書とエッセイが山積みになっている。いわば本屋の「花形」フロアだ。

 2階、3階とあがるごとに専門的な領域の本が集まるようになってくるが、このたびはとくに4階を中心にご紹介したい。書誌アクセスから地方・小出版センター扱いのコーナーを受け継いでリニューアルし、少々時間が経過したがフレッシュ感はまだまだ失っていない。それどころか常に進化を遂げつつあると感じることができるのは、隣にある思想・社会棚の存在が大きいであろう。いつも時代に先駆けた情報を与えてくれる平台作りはもちろんのこと、思わずううむと唸らせる美しい棚構成。特に時系列・思想別に並べられている思想棚には舌を巻く。人物ごと、テーマごとに、ところどころ「おっ」と考えさせられる本がささっていて、思わず手に取ってみたくなる。そう、特定の本を探すときにしかじっくりと眺めることのない棚差中心の本棚こそが魅力的な香りを放っているのである。図書館的な構成になってしまい、平積みに比べてなかなか売れないとされる棚差こそが活きている本屋というのはなかなか見ない。

 書店でアルバイトをしているとき、「本棚というのは耕すものだ」と言われていたのを思い出した。新しいものが入ってくるから、古いものをよける。それだけでも棚を耕したことにはなるのだけれど、そこに担当者の考え方なりこだわりなりが入った差し替えがなされると、そのことそのものが栄養になる。養分が多ければ多いほど、棚は育ってゆくのである。そのためには試行錯誤を重ねて、掘って、掘って、掘りまくる。本棚の豊穣は、そうやってつくられるのだ。

 4階に来ると、棚を見るのが楽しみだ。そこには本との出会いばかりではなく、担当者の思いとのゆたかな出会いがいつもあるからだ。そしてエスカレーターを降りる頃には、決まって大量の本を抱えていることになる。よって、給料日前に行くのは大変危険な本屋さんである。(奥山)

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