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2008年8月10日 (日)

増山麗奈さん個展にて、月刊『記録』芸術デビューする

 以前紹介した「ロスジェネ」という雑誌の関連活動を追いかけて、編集委員でもある画家・増山麗奈さんの個展「SUMI KANNON」に行ってきた。赤坂見附のCOEXISTという小規模のギャラリーだ。8月6日、お邪魔したところ増山さんは絵を描いている真っ最中だった。個展のタイトル通り、炭で観音様を描いている。観音様とはいうものの、実際は麗しい3人の美女(「三美神」と名付けられていた)。美女の周りには沢山の腕、腕、腕が四方八方に伸びている。千手観音のイメージだ。描かれた腕は、ギャラリーの観客達のもの。指先でポーズを作っていたり、何か持っていたり、男だったり女だったり様々だ。感心して見ていると、「奥山さんも描かれてみませんか?」と誘っていただいた。「『記録』を持って」と。

 えっ! こ、この子を描いていただけるんですか?! と、なぜか不肖の息子を持ったお母さんのような恥じらいを見せてしまった…が、『記録』が記録されるという二度とないであろう幸運に甘えることにした。
 結果、手に『記録』(今月号)を持った私の左腕が増山さんの芸術に参加することになった。難しいのは『記録』をどのように表現するかということだ。印刷物である雑誌をそのまま貼ると、和紙に炭というスタイルの作品の中でどうしようもなく目立ってしまう。増山さんのアイディアで、部分的に雑誌を切り貼りすることになった。タイトルは切り貼り、きろくま(いつも表紙に描いてある下手くそなクマ。奥山作)は改めて描いていただく。そして今月号の記事の中から編集人の連載を選び、タイトルを貼ったところでタイムオーバーしてしまった。次の日が個展のクロージングパーティーだということなので、明日また見に来ますと言ってギャラリーを出た。

08080704  そして次の日、パーティーに参加してみると…完成してる! 記事がページいっぱいに貼られて、作品全体の雰囲気になじむよう、記事の周りが凹凸のある白で塗られている。塗ってくれたのはギャラリーに観客として来たアーティストの方で、ここにも参加型のアットホームな芸術が実現されている。ちなみにこの方の腕も、千手の一つになっている。下の写真を見て欲しい。ピンクのステッカーを貼ろうとしている腕が彼のものだ。

08080702 このステッカーは現実にある。彼の作品だ。ナイキのマークをウナギに仕立てたマークの下に、「JUST DOITE?」と書かれている。渋谷の山下公園が「ナイキ公園」として生まれ変わる計画に反対する運動のステッカーである。なぜ反対するのか、興味を持たれた方はこちらへ

08080701パーティーでは「三美神」モデルの一人、白井愛子さんと増山さんのパフォーマンスが催された。刺激的な衣装で銃を奪い合ったあと、浴衣姿で歌う白井さんに増山さんが「NO 原発」と書かれた帯を巻き付け、布をまとわせた針金を巻き付け、そして最後に傘を持たせる。緑の傘はMireyHIROKIデザインのものだ。ヒロキさん自身からプレゼントされたもので、環境に優しい素材で作られている。実は前日に奥山もギャラリーでヒロキさんに初めてお会いして、どのような思いを込めて傘を作ったかを詳しく話していただいた。その内容は大変に深いもので、こちらで紹介するには誌面が足りない思いだ(ここで「誌面」と言うのはヘンな気がするが)。今度改めて取材したい。そう、このパフォーマンスからもにじみ出ているように、増山さんは環境問題に取り組む活動家アーティストである。そして二児の母。たいへんにエネルギッシュな人だ。こうやって沢山の人の目に触れる芸術に参加させていただいたからには、何らかの形で恩返しせねばならない。こちらの個性を生かして、どのようにアプローチすればいいだろう? 色々と考えさせられた2日間であった。

08080703 最後に、作品の全体を。絵が大きすぎるのと人がギッシリあふれていたのとで、全体が撮れなかったのが残念。(奥山)

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