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2008年8月19日 (火)

サイテイ車掌のJR日記/福知山線事故

 JR福知山線脱線事故から4月25日の今日で丸3年がたった。
 忘れもしない、107人が死亡、562人が重軽傷を負うという、JR至上未曾有の大惨事だった。
 現地ではJR西日本主催の「追悼慰霊式」が行われ、犠牲となった人々の冥福を祈る大勢の姿がテレビのニュースに映っていた。
 JR西日本の山崎正夫社長は「あの日の朝、106人の平穏で幸せな毎日を私たちは突然奪い去ってしまった」と改めて謝罪し、「安全を最優先する企業風土にすることが最大の目標となっている」と述べていた。

 国交省の事故調は昨年6月に「運転士が制限速度を大幅に超えてカーブに進入したのが原因」とする最終報告書を公表していたが、その中には、ミスをした乗務員に課される懲罰的なJR西日本の「日勤教育」が要因との指摘もあった。
 それにしても、JR西日本に対する遺族や被害者の不信感や反発は依然根強いものがあるということだ。
  「なぜ事故が起きたのか、なぜ事故を防ぐことができなかったのか」「JR西日本の回答は謝罪や抽象論ばかりで真相が分からない」「極めて不誠実な姿勢をつづけてきた」などなど、十分な説明が行われていないとして、JR西日本の企業責任を問う声は収まる気配がないのだそうだ。
 また、補償交渉でも合意に至ったのは遺族の約2割、負傷者の約7割にとどまっているということで、未だに進んでいる状況とはいえない、
 一方、兵庫県警はJR西日本幹部の刑事責任の有無について今夏までに最終判断する見通しだという。

 別の話になるが、JR東日本でいえば、05年12月末に起きた、5人が死亡し33人が負傷した羽越線脱線事故の事故調最終報告書も今月の2日にあったが、「局所的な突風の予見は困難」として、速度規制や運転の見合わせをしていなかったJR東の対応に問題はなしとしていた。
 これに対しても「時間がかかりすぎる。内容はこれまで報道されたことばかりだ」「一つの区切りにはなるが、心の傷に変わりはない」と落胆や憤りの念を禁じえないでいる被害者らの多くの声があった。

 この2つの事故に共通することは、やはり一瞬にして人の命が奪われてしまったということだろう。たとえ一命は取り留めたとしても、内臓破裂や骨折、手足の切断といった、どれも想像を絶することばかりで、その人にしか分からぬ闘病生活や重度の後遺症による辛さや苦しさは一生つきまとうのである。
 またそれが最愛の人や家族であったり、これまでも、これからの人生をも全てメチャクチャに破壊されたも同然だろう。そのような状況になった人でないと分からない、それこそやり場のない悲しみや苦悩、悔しさ、怒りなどはいつになっても癒えたり消えたりするものではないはずだ。あまりにも悲惨すぎて、筆舌に尽くしがたい。
 思うに、いくら安全対策が進んでも、最終的には人だということだ。企業の体質や意識など、つまり、人間の問題が根本的に解決されない限り、忘れた頃に大事故はまた起きるといっても過言ではないだろう。

 特に福知山線の事故ではJR西日本の社長がいう「企業風土改革」は、人権侵害の限りを尽くしたおエライさん方が退職などでいなくなる前にやり遂げなければ何の意味もないのではないか。やっていない人にやるなといっても始まらないのだから。
 いずれにしても、JR西日本も被害にあわれた方々もこの苦しい現状を何としてでも克服して、明るい新たな道を切り開いてほしいと願うばかりだ。やはり、改めてご冥福を祈り、お見舞いを申し上げるしか、今の私には術がない。(斎藤典雄)

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