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2008年8月29日 (金)

『吉原 泡の園』第76回/◆番外編◆ ある女のコとの出会い

 ネットスカウトをやっていて、何人かのコはアポをとるまでにいたった。埼玉県在住のYさんとは「明日の午後5時にハチ公前で」、そんなメールのやりとりをして、最後に相手の携帯番号を聞き出した。写メールはどうしても送れないという。
 スカウト集団の幹部Uさんによれば、渋谷までカモをおびき寄せてくれさえすれば、急用ができたとか言って、僕は行かなくてもかまわないという。つまり家のパソコンの前にいるだけで、うまくいけば金になる商売のはずだった。
 ところが写メールを送らずに面接にだけ来るコは、業界で言う“ポッチャリ”が多い。個人的には健康的で好きだし、ポッチャリ専門の性風俗もあるくらいで、そうした所ならば活躍できる。しかし渋谷はビジュアル重視といって、スラリとモデル体型のコが重宝される。それに面接時の喫茶店での飲食代はUさん持ちだ。毎度毎度金にならないコばかりを僕が送りつけるものだから、終いにはUさんも切れた。
「風俗店に行って、横綱が出てきたら、自分ならどうですか?」
 そうたしなめられる始末となった。

「楽して稼げる仕事などない、か」と、しょげながら2ショットメールをやりだすと、すぐにどこの小娘か分からない相手が、僕のチャット部屋に入ってきた。
“こんにちは、お仕事探しですね”
 いつもの常套句を書きこんだ。
“はい、儲かる仕事ありますか”
 これもまた女のコの常套句だ。何ヶ月もネットスカウトをやっているうちに、女のコの、それも風俗に身を投じているコのパターンが分かってきたのだ。つまり、いままで面接にかすりもしなかったコと同じことを言っていたわけだが……。
 風俗志望のコの興味は1つだけ。とにかく儲かる店をである。金、金うるさいな、と思いながらも、いつものように答えてあげる。

 面接日を決める段階まではスムーズに行く。これも毎度のパターンだった。そして決定的なこと、面接日を決めると女のコはチャット部屋から退出していってしまう。携帯電話の番号も教えずに。今回も、どうせ最後の最後で逃げるんだろうな、そう思いながら適当に相手をしていた。
“面接はどうしますか”
“明日にでも”
 珍しかった。今日の明日ならば、もしかしたらという望みも出てくる。渋谷のスカウトマンだけでなく、女のコ斡旋の個人契約をした潜り業者も知り合いになっていたので、明日、まずは潜りの業者に紹介してみて、ダメならば渋谷に紹介すればいいと思っていた。

 翌日、御茶ノ水でそのコと待ち合わせをした。17時に駅改札で。来るか来ないか、五分五分だと思った。来ないならそれでいい。
 17時少し過ぎ、携帯が鳴った。
「昨日の者ですが」
 来た。約束通り。
 胸の大きなスタイル抜群のコだった。小岩のイメクラに連れて行き、女オーナーと話しをさせるが、時間的な都合が合わなかった。仕方がなく、渋谷のUさんに見てもらうことにする。
 小岩で切符を買って、さっさと行こうとすると、そのコはじっとしていて動かない。スカウトマンは女のコの切符まで買ってあげなければいけないのだと、無言の圧力を感じた。こうなると買うしかない。
 渋谷のUさんと喫茶店に入る。色々話し、吉祥寺の店で体験入店ができることになった。
 体験入店とは、その店でやっていけそうかどうか、試しに1日だけ働くものだ。当然女のコに給料が発生する。さらにUさんのスカウト集団では、体験入店でもスカウトマンにとりあえず1万円が発生するシステムだった。おかげで僕はスカウトマンとして始めて収入を得たのだった。それにしても3ヶ月で1万である。その女のコが完全に働ければ、月の売上から一定の割合がスカウトマンの懐に入る仕組みだ。
 このグループはアダルトビデオの女優もスカウトしており、Uさんなどは、偶然にスカウトしたコがビデオ女優として稼いだので、それだけでもかなりの副収入があると言っていた。
 スカウトマンには専業でない者もいる。現役の一流大学生いれば、ホストがひそかにスカウトをしていたりもする。偽の写真を掲載してネットでスカウトをすればかなり稼げると教えてくれたのは、ホスト兼スカウトマンの人だった。もちろんホストクラブに遊びに来るコも、そんなホスト兼スカウトマンの餌食になっていた。

 渋谷でスカウトをしている者は相当いる。ただ、それぞれのグループに縄張りがある。このグループはこの範囲でスカウトをする。そんなルールが決まっており、各団体はヤクザに金を上納しているそうだ。Uさん率いるスカウト集団が堂々と活動できるのも、この上納金のおかげだ。縄張り内でのトラブルならば、いつでも解決は請け負うらしい。ただし「範囲外では何もできないから、縄張りを荒らさないように」とUさんから注意された。
 しかし、どんなヤクザも警察には勝てない。06年6月には、都条例の改正により風俗案内所とスカウトマンらに対する警察の態度も厳しくなった。条例施行当日、渋谷の街で立っていた数人のスカウトマンが逮捕されたと聞いた。

 それほど幸せに育ってこなかったコが、ネオンのきらびやかに惑わされるのか、スカウトに食いついてくる。食いつくコは、どこかの風俗を辞めたか、辞めようとしているコが多い。1度はまった風俗地獄から抜けようにも抜けられないコが多いからだ。その行く末は精神病院への入退院、そんなコも多い。
 もちろん女のコ流通システムといっても、スカウトなども氷山の一角に過ぎない。強制的に働かせられているコもいる。女のコの状態も千差万別だ。18歳未満や薬漬け、男に貢ぐされているケースも。どれもこれも暗い話しばかりだ。そんな闇を抱える女のコが頑張り、ファンができて、店が潤い、スタッフが暮らせる。
 だからだろう。
「ボーイは女に食わしてもらっているんだ、それを忘れるな」
「ここはマ○コ屋だ」
 吉原ソープでは、そんな言葉を上の者から叩きこまれる。(イッセイ遊児)

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コメント

吉原に行きますと覆面パトカーが停まっていたり、私服姿の警察官が巡回していたりで最近の警視庁は警ら活動に非常に熱心です。イッセイ様が働いておられたグループ傘下のブ○ーシ○トーも今年の4月にこの私服警察官にやられ営業停止を食らいました。警察官と知らずにボーイさんが店前で客引きをしてしまいアウト。営業停止期間は4か月ということでしたので、もう再開したかも知れません。ただ、私が疑問に思うのは警察は風俗店の取締りを強化すると。それはそれで構いませんが、その先には一体何があるのでしょうかね?例えば風営法許可を受けた風俗店を含めて取締りに屶を振るえば違法風俗店が益々増え地下に潜るだけだと思います。また、暴力団の資金源を枯渇させるのが目的ならば、風俗をチマチマ取締るよりも不動産や金融を含めた企業産業界の隅々にネットワークを張り巡らしている企業舎弟を潰す方がよほど効果的でしょう。私個人は今の警察の一連の風俗取締りからは、当局がどのような政策目的を達成しようとしているのか?がまるで見えてこないのです。貴殿はどうお感じになりますか?

投稿: 援護団 | 2008年8月29日 (金) 23時41分

援護団さんこんにちは。 ブルー○ャ○ーですか!そこの店長のSさん、今も元気なのかな?1番世話になったんですよね。 さて、警察の取り締まりですが、吉原も手厳しくやられていますが、歌舞伎町、池袋もすごいですよね。まあ、許可店については警官の管轄で把握したいみたいですし、摘発はみせしめだろうと思いますね、裏風俗の存在は当然気にはなるだろうが、陰でこそこそやるのなら、それほど警察もうるさくないんですね。やはり、グレーゾーンの商売は、ひっそり生きていろ!と言ったところですかね。

投稿: イッセイ | 2008年8月30日 (土) 13時20分

風俗業界のお陰で・・・
世の中は【少子化問題】にまで悪化しているこのご時世・・・
現代の女性は男の身勝手な性行為のせいで性感染症になったり最悪は不妊症にまで急増している。
子供を生まないのではなく、子供が生めない体になってしまっている事実をご理解下さい。
男の性欲・・・自身でコントロール出来ていれば・・・理性(精神的な繋がり/絆)を持てていれば・・・風俗業界に足を運ぶ者は減るのではないだろうか?

人間も確かに動物ですが・・・
下等の人間に成り下がってしまっては・・・いかがなものなのでしょうか?
犯罪と同じで、家族や周囲の大切な人達まで悲しませる行為を何故、バレなきゃ良いの精神(性欲)で突き進む事が出来るのか?
男も最初(妊娠中/初期)は女から作られているもの・・・男に“母性”は本当に残っていないのだろうか?
この世に生まれて初めて接する異性。。。母である。
母から愛情を受けている男なら女を玩具のように性欲の為だけに扱えるものなのだろうか?
自分の母親が・・・もし、夫に裏切られ悲しんでいる様を見たら・・・?
それでも「お父さんだって男なんだから仕方がないよ!俺にはお父さんの気持ちがよく解る!」と最愛の母に言って聞かせるのか?
それが母への慰めになるのだろうか?
この世にマザコンは居ても上記のような息子も多々存在するのだろうか?
父と息子のコミュニケーションの1つに・・・
近い将来「風俗!」も含まれてくるのだろうか?
性病も・・・風邪と同じように軽くあしらわれる世の中が来るというのだろうか・・・?
人間は・・・性欲で人口を増やし・・・
そしていつか人間は・・・性欲で絶滅するのだろうか・・・
息子が風俗業界にハマッていると聞いて母は「良かったね!楽しそうで!」なんて言う時代も・・・そう遠くはないのだろうか・・・
本来のSEXの意味をわかっているのだろうか?
それとも現代の親も子供もわかっていないのか?
子供が子供を生む時代だからなのか?
SEXはいやらしい行為に限定されてしまったのか?
胸をはって「趣味!」と言える世の中になったのか?では履歴書に書けるのか・・・?
風俗業界・・・そこに罪悪感は無いのか・・・?
男のエゴ(我がまま)と風俗業界さえ無くなってくれれば・・・世の中“平和/家族/絆/愛”について真剣に取り組む事が出来るのではないだろうか?性病も感染者も減るのでは?
愛情を沢山に受け育っていける環境に戻りさえすれば犯罪も不幸な生い立ちの人間も減るのではないだろうか・・・?
風俗で発散するのではなく、彼女や妻と楽しみSEXを通して絆も深めていけば良いだけの事。。。
それとも、男は1人の女性では飽きるのか?風俗業界が無ければレイプが増えるのか?
レイプ犯罪者と性病感染者・・・日本はどちらを恐れ阻止したいのか?
男は・・・「太く短く生きられれば最高」なのか?
女とは・・・男にとってただの玩具にしか過ぎないのか?
自身の家族の誰かが風俗業界に足を染めていても平気なのか?

要するに・・・自分さえ良ければどうでも良いという事なのか・・・
“恋嫌いの色好き男”
“色嫌いの恋好き男”
どちらにせよ女は・・・耐える他ないのか・・・?

投稿: hiro | 2009年7月16日 (木) 16時30分

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