『吉原 泡の園』第75回/◆番外編◆ スカウト悪戦苦闘
渋谷でスカウトマンを始めた。さすがに若者のファッションをリードする街だけあり、お花畑を連想させるような色とりどりの服や髪などのカラーの渦。その中で僕が所属したスカウト集団Lのメンバーが活動する。ストリートナンパだけでなく、インターネットを活用したスカウトもある。
Uさんが僕にどのようにスカウト活動をするか提案してくる。ストリートナンパか、それともネットスカウトマンか。僕はネットスカウトマンを希望した。街中で女性に声をかけるのは気恥ずかしく、僕が声をかけるとスカウトというよりも、モテない男が女性にすがるように見えるのではと思ってしまったからだ。
ネットスカウトマンとしての活動は、ある有名チャットコーナーでスカウトするという単純なものだが、意外とコツがいる。
ネットをやっている人ならばご存知の方も多いと思うが、チャットとは見知らぬ人どうしがメールのやりとりで会話するものだ。2ショットメールといえば2人きりでの会話を意味する。ネットスカウトは2ショットチャット専門であった。
8部屋×8コーナーほどの部屋があり、空き部屋に早いもの順で入れる。入った者はメッセージを貼り、待機すればいい。たとえば僕のようにスカウトマンならば。
“バイト紹介しますよ”などと貼りつけて待機している。
“こんにちは、どんなバイトですか”
全国で、そのチャットを見ていて、かつ興味のある人が入ってくる。男を意味するのが青で、女は赤なのだ。ただ、これも男なのに女になりすます者もいる。
“風俗だよ”
などと会話が進み、近場の女性ならば渋谷の喫茶店で会う。いわいる「面接」だ。
会う前に聞くことがある。もちろんチャットでだが年齢、経験の有無、希望条件、写メールを送ってもらうこと。そして実際に会う日には、身分証を持参してもらう。住基ネットもOKだ。
希望条件などは建前で聞いてやっているだけで、どうでもいい。身分証は18歳以上ということを確認するため。経験の有無は結構大事なのだ。経験が浅いと、ビビって逃げてしまうこともある。写メールを送ってもらうのは、ある程度ビジュアルが大切であり、送られた写メールをスカウト集団の幹部に見せ、OKがでて初めて面接となる。渋谷で面接といっても、喫茶店を利用し、その飲み代はLの幹部持ちとなる。写メールで確認くらいはしておきたいのは当然だろう。
性風俗はビジネスであり、金を払うも払わぬも客次第。そこにはシビアな駆け引きも伴う。女ならば誰でも性風俗で働けるものではないという厳しさを感じずにはいられなかった。
チャットでのスカウト活動は、中々思うようにはいかない。それも考えてみれば当たり前なのだ。見ず知らずの人間の言うことを信じて、ノコノコついてくる女もそうはいまい。それでも月1回渋谷で行なわれるスカウトマンの定例会などでは、前月の成績を発表され、ぞくぞくと高額賞金をゲットする者がいたりして、聞くとネットスカウトマンだというのだ。そんなベテランなどに方法を聞いたりして、何とか僕は地味に活動していた。体験取材といっても、一歩間違えれば逮捕だろうし、やっているこ自体違法でもあった。ただ、やらねば書けぬ。
携帯での出会いサイトを教えてもらい。あるホストの写真を拝借して、それを自分だと偽り、スカウトもした。かなりグレーゾーンの行為だ。ただ体当たりでぶつかってこその取材だし、命がけだからこそわかることもある、そう自分に言い聞かせた。自分で見て、聞いて、触れたものをベースにしていきたい、と思ったからやったのだ。
2ヶ月、3ヶ月と時間だけが過ぎていった。大抵1ヶ月もやっていれば何かしらの成果はあるそうだが、もう3ヶ月も何もできない。才能もなけりゃ運もないのか、と諦めかけていた。(イッセイ遊児)
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コメント
腕のいいスカウトマンだとかなりの高給とるんだろうね。
投稿: ごん | 2008年8月25日 (月) 10時33分