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2008年8月15日 (金)

『吉原 泡の園』第74回/◆番外編◆ 潜入魂に火がついた

 スカウトとは吉原ボーイ時代から仕事上付き合いがあった。彼らの本音や女のコをどうやって店まで連れてくるのか知りたかった。それが僕の潜入魂を揺さぶり、吉原を離れた後にスカウトマンになることにした。場所はスカウトのメッカである渋谷だ。
 渋谷センター街通り、東京の繁華街でも若者がひしめく街。新宿や池袋でも性を求める店はあるが、渋谷はアダルトビデオからスター女優までさまざまなスカウトマンが闊歩する街でもある。少しばかりスタイルが良ければ、たかだか100メートル歩くだけで数人の男が声をかける。もちろん声をかけるのはスカウトマンだけではない。ここでは素人の男もめぼしい夜の相手を求めてさ迷っている。
 男が見知らぬ女に声をかける場面に遭遇した。
「ねえ、○○円でどう」
 女にしてみたらたまらない。突然知らぬ男が信号待ちで話しかけてくるのだ。

 ネットの裏情報的サイトでスカウトの記事を見た。出勤自由、ノウハウ・イチから教えます。そんな謳い文句に半信半疑でメールを送ってみると、数日後返信メールが届いた。
「仕事の質問ありがとうございます。後日渋谷でお会いましょう。U」
 約束の日、渋谷ハチ公前でUさんの携帯に電話をすると、強面をイメージしていた僕の前に現れたのは意外にも小柄でやさしそうな男だった。
「場所移りましょうか」
 Uに促がされセンター街の中にある喫茶店に向かった。
「どうも始めまして」
 Uはそういうとバンバン届くメールと着信を無視しながら僕に飲み物を勧めてきた。
「スカウトは始めてですか」
“笑顔がさわやか”ではあるが、まだ未知の人間だ。油断はならない。そう思っているとAというUと共同経営している人物が現れた。ちょび髭にゴツイネックレス。いかにも渋谷のワルといった感じだ。
「いやーケツ持ちに金払うのが大変でね。でも、きちんと金は払っているから仕事はばっちりできます。稼げますよ」
 何を言ってもそのちょび髭が言葉を軽くしてしまうようだった。
「どれくらい稼げますかね」
「そうだね、やる人なら月に50とか軽いでしょう」
 それも嘘っぽいと思った。もちろん、いるのかもしれない。100人に1人くらいは。
「未経験でもできますか」
「もちろん、ノウハウは教えます」
 ここまで来たのだから、やはり結構ですと断る理由もない。せっかくだから性風俗産業のありとあらゆる繋がりを調べてやろう。ヤクザに何かされても、あるいは警察沙汰になろうとも、調べずに指をくわえているほうが僕にとっては耐えられなかった。
 奢っていただいたアイスコーヒーを一気に飲み干し、スカウトマンとして風俗譲候補を追いかけることになった。

 普通、スカウトが店に女のコを入れると、何日働いていくら、という具合に報酬が発生する。ところが僕が出会ったスカウトマンの団体は、体入(体験入店)だけでもいいので店に採用されれば、1万円が発生するという目から鱗の契約方法を店と交わしていた。しかも吉原ソープとは契約もしていない。あまり関わらないようにしているという。吉原ソープに暴力団関係者が多いかららしい。スカウトの聖地で活躍する先鋭ですら、吉原ソープは敬遠されていたのだった。
 ともあれ、どのようにソープまたはその他の性風俗に女のコが売られていくのかを知るべく、僕はスカウトマンとして渋谷の住人となった。(イッセイ遊児)

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コメント

イッセイ様こんばんは。そうでしたか。百戦錬磨のプロスカウトマンですら吉原ソープ界を敬遠していましたか。私は2チャン等の掲示板で『吉原博士』と身に余る評価を頂くことがあるのですが(笑)、これまで何度か「吉原の店は闇社会と関係があるのですか?」との質問を受けたことがあります。私は、吉原の場合、程度の違いはあれど暴力団と関係の無い店のほうが少ないと返答しました。私の返答は間違っていなかったようですね?長年吉原に通っておりますと、私のような部外者でさえ各店と闇社会との黒い噂を業界の方から耳にすることが幾度となくありました。これは私の推測なのですが、吉原ソープに暴力団が多いのは、水面下で店間のトラブルが多いからではありませんか?というのは、私の地元にも小さなソープ街があるのですが、そこはとっくの昔に暴力団とは縁が切れており今は本当に一切付き合いはないようなのです。他方、吉原は100軒もの店舗が密集し極めて競争が激しい。特に今は景気が悪くもう客の取り合いですよね。このような環境ですと店どうしの喧嘩やトラブルは沢山起きても不思議ではない。となると、やはりバックにヤクザがつきやすくなる。貴殿はどう思われますか?貴殿はRグループと他店とのトラブルを見聞きした経験はありますか?

投稿: 援護団 | 2008年8月15日 (金) 20時24分

イッセイさん。一つ質問あります。裏風俗だと女の子へのバンス前貸があるとききます。吉原のソープではあるのですか。今どうなんでしょうね。

投稿: たけし | 2008年8月16日 (土) 04時01分

まずはたけし君こんにちは。吉原でのバンスですが、当時もありましたが、当然現在もありますよ。借金の多いコが多いしね。なかには、闇金業者から縁を切り離すように、店が様々な工作をしたり、闇金業者と話し合いもしてやったりもするんです。山○組を頂点に、ピラミッドの下方では、欲望のやり取りが大変なんです。日本において、様々な産業に多大な力を及ぼす組が、吉原にも大きな影響力があり、その関係者はお互いの力を伺いながら、したたかに生きているんですね。
バンスの続きですが、あまりやる気のないコには、やはり冷たいです。まあ、それは当たり前ですよね。キャバクラなんかにも、前貸しはありましたよ。

投稿: イッセイ | 2008年8月16日 (土) 11時33分

援護団さん、こんにちは。援護団さんの言う通り、トラブルがプロ同士の喧嘩に繋がるから、ヤクザが多いと。そうでしょう。そして、ヤクザが吉原に進出してきたキッカケはそれで、店舗の名義を譲り受ける際、関係者になりやすく、ヤクザからヤクザに名義変更されるケースが多いし、ソープ経営のノウハウなんて、素人にはわかりませんよ。ソープ経営のバスポートは何か?いってみれば、それは入れ墨のようなものなのでしょう。 アカマムシドリンクを一本数千円で卸させろ、とヤクザが来ました。相手は同じ山○組の系列です。その時、オーナーは系列の親分に相談して、たちまち問題は解決しました。やはり、素人では無理ですね。

投稿: イッセイ | 2008年8月16日 (土) 11時44分

いま通ってる店の店長だが、7、8年前にボーイとしてきたころはお坊ちゃんタイプで穏やかな風貌だった。今はもうがらりと変わってしまった。頬はやせこけて、鷹だかワシみたいな鋭い目つきでね怖い。イッセイさんの話を聞いているとね分かる気がする。なぜ彼の人相があそこまで変貌したのかが。

投稿: ごん | 2008年8月16日 (土) 19時12分

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