冠婚葬祭ビジネスへの視線/第25回 潜入「他力本願でいこう! 2008」 LIVE編
さてさて、先週の続きなので少しタイムロスが生じてしまうが報告には価値があると思う、「他力本願でいこう! 2008」ライブの様子。
8月23日午後4時半、小雨の降る中800人の男女が築地本願寺本堂前に集まった。お寺でのイベントというのに、ほとんどの顔が10代から20代前半、ストリート系のファッションに身を包んでいる。
法衣を着た僧侶が、スピーカーで案内し始めた。整理券のナンバー順に、若者が本堂の中へと入っていく。奥山が手にしていた整理券は601番。当日配りの整理券のうちでは、27番目に若い数のはずだ。ということは、先行配布に570人もが並んだということになる。このチケットの先行配布方法は特徴的で、8月中旬の3日間、朝勤行に参加した人に配られるというものであった。平均して200人弱の一般人が参加する朝勤行というのは、なかなか見ることのできない光景であったろう。残念ながらイベントを知ったのが配布後だったので、見ることは叶わなかったが。
中に入ると既に絨毯を敷き詰めた真ん中の席はいっぱいで、出演者の見えにくい脇の席に座ることになった。ちなみに式次第、ではなくコンサート次第は以下の通り。
サワサキヨシヒロ
いとうせいこう&ポメラニアンズ
法話(吉村隆真/熊本県良覚寺住職)
Hair Stylis(中原昌也)
DE DE MOUSE
法話(吉村隆真/熊本県良覚寺住職)
KAN
法話(吉村隆真/熊本県良覚寺住職)
二階堂和美
法要
最後に「法要」がくるのが何とも宗教っぽい。
びっくりしたのは、いとうせいこう。皆を総立ちにして日本語ラップ? を繰り広げていたが、いきなり本尊前に僧侶が並んで念仏しはじめた。さらに経文を唱えるのだが、平板な経文がちょうどいいベースとなり、あわせて演奏がなされていく。お経とラップのコラボ。個人でのお経ラップ(日蓮宗僧侶、互井観章氏)は聴いたことがあったが、バンドと僧侶のコラボレーションを聴いたのは初めてであった。ぞっとするほど美しい、とは思ったが、ほか多勢の男女同様ラップ歌詞の「なんまいだ」にはノれなかった。「カモン!」と言われても、若者に「なんまいだ」と言わしめるのはまだまだ難しいようだ。
そしてKAN。そう、「愛は勝つ」のKANだ。きっと実演者の中では認知度ナンバーワンだろう。やはり登場と同時に万雷の拍手が鳴り響いた。短髪でスーツ姿のKANは、ラップやクラブミュージック中心という今回のイベントの流れの中で、大変さわやかな印象を醸していた。「愛は勝つ」は歌ってくれなかったが、相変わらずの美声と流れるようなピアノ演奏に参加者が聞き惚れ、唄を口ずさむ女性の姿も見られた。
個人的に一番面白いと思えたのは、法話であった。「果たして若者たちがじっと我慢して聴いてくれるかどうか?」という、余所者のよけいな心配が吹き飛んだほどの面白さで会場を魅了した。
「自分の子どもが生まれるとき、出産に立ち会う、ということを経験したんですよね。初めての経験だから、おろおろしちゃうわけ。これが『出産』じゃなくて『出棺』だったら立ち会い方もようくわかってるつもりなんですが…」
などと思わず笑ってしまう小ネタを入れてくるあたり、プロの話術を感じた。他に「ビー玉」の名前の由来など、豆知識的な部分には周りの若者がうなずく仕草も見られた。実演を挟んで三回あった吉村隆真住職による法話の主眼は、宗教に無節操な日本人の一年間、「勝ち組」「負け組」というカテゴライズの愚かしさ、「他力本願」の意味と、一つ一がとても重いテーマであったが、ざわざわと会場が落ち着かないということはなかった。一期一会のこの会場で、仏の教えは確かに心に届いたようだ。
最後は本尊様のご開帳があり、法要で締められた。
最後に、関係ないことかもしれないが会場にmegっぽい髪型や服装のコが多かったのはなにか故あってのことなのでしょうか、それとも単に流行ってるのか。(小松)
| 固定リンク
「冠婚葬祭ビジネスへの視線」カテゴリの記事
- これから増えるかも? 都市部の「自宅葬」(2013.04.26)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/自由に弔われる時代がやってくる(2012.10.21)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/安置難民を救う「死者のホテル」りすセンター・新木場(2012.05.15)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/「戒名料」という名前がダメなのかも(2012.04.22)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/3.11も稼働した「りすシステム」の見守りサポート(2012.03.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント