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2008年7月 5日 (土)

書店の風格/第12回 山下書店渋谷南口店

 この書店を知らないという東京都民の皆さん、じゃあ渋谷駅なら行った事があるだろう。

 行った事がある。よし。それなら南口に出て、大きな歩道橋を渡ったことくらいはあるのではないだろうか。

 今度その歩道橋にさしかかったら、ふと橋の下を見下ろして欲しい。そこには雑誌が所狭しと並んでいる本屋さんがあるはずだ。どうして外から見て所狭しと並んでいるかがわかるかって、そりゃ、店の外に棚があってそこに並んでいるから一目でわかってしまうのだ。さらに全面ガラス張り。入り口脇にはガチャガチャが何台か設置してあり、ただものでない感がひしひしと伝わってくる。遊び心をそそられたら、歩道橋を降りて店頭に立ち、路上で雑誌を物色しよう。男性向けのファッションや趣味についての雑誌が多い。今流行中らしい「おしゃれボウズの作り方」のムックなんて、女性である私はここで立ち止まって観察しなければ存在すら知らないものだ。僥倖に感動を覚えながら、入り口のガチャガチャにはかろうじて手をつけずにお店に入ると、そこにはとてもアツい平台がある。「アツい平台」といっても何のことやらわからないと思うが、並べた人の熱意がひしひしと伝わってくる品揃え。デザインに優れた非定型書籍などがジャンルを問わずPOPつきで並んでいるのだ。流行の中心地である渋谷という場所柄、たいへん的を得ていると言えよう。

 さらにこの書店はなんと24時間営業、もちろん無休だ。私があと10歳若かったら絶対この辺の路上でたむろしている。間違えた。一人ではたむろできない。ええと、座り込み? 野宿? とにかく飽きないで周辺に張り付いていると思う。

 中に進んでいくと、お客さんは圧倒的に若い男性が多い。熱狂的ファンがいそうな本屋だ。軽めのノンフィクションやサブカルチャーに加え、コミックの多さでお客のニーズに応えている。レジ前にはチラシやフライヤーがあふれ、表現系の若者にも親しまれていることがわかる。

 しかしこの本屋、意外と女子もいけるのだ。入り口からまっすぐ入ったところの文芸棚は、文化系女子向けのコーナーが一角を占めている。近年話題になっている腐女子本、それに付随するエッセイなどで構成されている。男性ばかりいる印象で、なかなか入れない…としり込みしていた女子の面々はぜひ勇気を持って入店していただきたい。必ずやお気に入りの一冊に出会えることだろう。
 それは必ずしもいつも自分が親しんでいる趣味のよい本や、装丁の可愛らしい本ばかりを意味しない。激しいサブカル本でもなければちょっとオタク度の高い小説やコミックでもない。女子向けの棚を鑑賞したらそこから一歩遠ざかり、隣のアイドル写真集やアウトドア、スポーツなどの本にも少し目をかけてみて欲しいのだ。もしかしたら結構面白い、未知なる世界が広がっているかもしれない。私の出会った「おしゃれボウズ」のムックしかり。そう、ここは出会い系の本屋なのだ。うら若き文化系女子の諸君、そろそろ文化系とか呼ばれるのにも飽きてきたなと思ったら、渋谷は山下書店に集おう。(奥山)

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