冠婚葬祭ビジネスへの視線/第23回 生前葬自己プロデュースのススメ2
前回、「生前葬自己プロデュースのススメ1」にて生前葬はどんな形式でもできる、だから葬儀社を通さずに自分でプロデュースしてしまおうと述べた。そしてどうせなら格安で済ませる生前葬という名目で式場の選び方、人数の割り出し方を紹介した。日取りも式場も決まって人数を割り出せたなら、招待状を出そう! という流れになるだろうが、その前に決めておかなければならないことがある。参列者の気持ちになって考えよう。「10時からと書いてあるけれど、一体何時間かかるの?」「食事は出るの?」「香典は持っていったほうがよいのか?」様々な疑問が浮かんでくるだろう。疑問解消のために、招待状にはそれぞれについて列記しておかねばならない。今回は、「一体何時間かかるのか」という疑問を解消させるため、式次第をざっくばらんに詰めていこう。
通常のお葬式を例にとって考えてみる。
「お葬式」は「お別れの会」の要素と「葬送儀式」の要素をあわせたものである。
仏教式の「お別れの会」の要素を赤、「葬送儀式」の要素を青で表してみよう。
どちらとも言えないものは黒でご容赦願いたい。
葬儀式次第
1、開式の辞
1、読経(宗派によって内容は様々だが剃髪など)
1、弔辞・弔電
1、読経(引導など)
1、焼香
1、喪主挨拶
1、閉式の辞
要するに住職の出番となるところが儀式、遺族や参列者の出番となるところがお別れの会である。「焼香」は仏教式でしか出番のないものだが、これは「個人に何かを献じる」形のものであり、儀式的とも取れるしお別れの意味もある。キリスト教式であれば「献花」、神式では「玉串奉奠」となる。無宗教式では献灯など、様々な形で行われる。
葬式を宗教儀式にしないのであれば、赤の部分のみで充分。内容的には参列者からお悔やみの言葉があり、遺族から感謝の言葉があれば済んでしまうのだ。しかしそれだけじゃ物足りない。なにより遠方からわざわざお越しいただいた方々に失礼だろう。もっと言えば生前葬は遺族と参列者だけの催しではないのだ。物言わぬはずの死者がまだ生きている、それを活かさずして生前葬はない。
したがっておおまかにに式次第を作れば以下のようになる。
1、開式の辞
1、弔辞・弔電
1、喪主挨拶
1、故人挨拶
1、閉式の辞
こう書くとなんかヘンだ。開式していきなり弔辞って。しかも「故人挨拶」ってなんだよ? という話になってくる。もちろんこれは基本構造の話なので、あとは好みに合うように肉付けをすればよい。音楽の好きな人は演奏会風にして、一つ一つの次第の間に緩衝材になるよう演奏をしてもらったり、自分で演奏する。ただし自分のリサイタルにしてしまうとただでさえナルシシックな印象の生前葬がその色を濃くするので、なるべく他の人にも依頼しよう。儀式風にするのが好きな人なら献灯を行うのもよい。一人ひとりに小型の行灯やキャンドルを渡し、祭壇を作るつもりならそこに捧げてもらう。なければ自分に手渡してもらう。花が好きならば献花も同様にできる。メッセージカードを配って何か書いてもらい、匿名でそれを発表してもよい。弔いの余興を誰かにやってもらってもいいし、読書家なら感銘を受けた本を一人ひとりにプレゼントし、気に入った部分を朗読してもらうなんてこともできる。かなりメッセージ性の強い行事なので、よほどうまく演出しないとちょっと恥ずかしくなってしまうが。
さて、大体の方向性が決まって肉付けできたら大まかに時間を組んでみよう。参列者の集中力を考えれば1~2時間に収まるのが理想だ。決まったら終了予定時間を招待状に書き込める。余興をお願いしたい人には依頼状を同封でき、手間が省けるだろう。もちろん、その前から電話などで相談しておくのが必須だが。
ここまで読んできて、何かお気づきになっただろうか。そう、内容構造が結婚披露宴の段取りを決める時と全く変わらないのである。葬式はいわば死の世界への嫁入りだ。現にキリスト教では「神のもとに召される」と言うし、結婚の契りを結べば二度と生家には帰らない武家の婚礼で花嫁が白無垢を着るのは、生家での死を意味する。つまり死に装束だ。だから結婚の経験がある人は、アレと同じ感覚でやってもらうとよい。そんなに難しい話ではないだろう、お手本となる例がないだけだ。
さてさて、ざっくばらんに式時間のめどがたったところで次はお香典について。続きはまた今度。(小松朗子)
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コメント
おい! またスパム来てんぞ!
投稿: 緑黒飛蝗 | 2008年6月29日 (日) 01時45分
赤と青とありますが、全部黒文字に見えます…
投稿: あれ? | 2008年6月29日 (日) 19時05分
あ、うっかりしてました!
ごめんなさい、直しておきます。
相当マヌケですね。
助かりました。ご指摘ありがとうございます。
投稿: 奥山 | 2008年6月30日 (月) 18時48分