冠婚葬祭ビジネスへの視線/第20回 葬儀講習会レポⅡ
第19回の続き。
吉澤氏は、仏教葬儀の知られざる実体について次々と語っていく。そのうち、戒名料の話に移った。話によると、全日本仏教会は「こんにち、戒名料が問題になっている。戒名そのものに対して料金を設定するのはおかしいという意見だ。戒名料だってお布施のうちなのだから、今度からは「戒名料」という表記ではなく「お布施」を使おうではないか」と取り決めをしたそうな。でもそれって、呼び方が変わっただけで実態は何も変化しないような気が…。
これは私個人の意見だが、仏教で葬儀がしたいのならば戒名料は生きているうちにいただいていたほうが良いと思う。戒名は仏弟子につけられるものだから本来なら出家しなければならないが、もらっておくだけなら了承してくださる寺院も多いだろう。自分で戒名料…じゃない、お布施を払うのだから納得ずくの名前にしておきたいだろう。寺院だって本人に渡すものと思えば名づけにも力が入るし、遺族にそのぶん負担をかけなくてすむ。いかがだろうか。あ、戒名ぶんのお布施は支払い済みだということは絶対に文書にして寺院と遺族となる人に渡しておかなければならないが。
さて、吉澤氏の講義は火葬についての話に移った。火葬と言えば長い箸で骨を拾うお骨あげが必須だが、東日本と西日本では拾う部位が違うらしい。東日本は全てのお骨を骨壷に入れるが、西日本では喉仏周辺しか骨壷に入れないというのだ。知らなかった。当然二つの地方では骨壷の大きさが違い、東日本で骨あげして西日本に持って帰ると墓に骨壷が入らないなんて悲劇が起こるという。へえー! というか、ひえー! それからの処理のほうがもっと悲劇的な気がする。骨なんておいそれと捨てる気分になれないし。十分気をつけよう。
そして講義は最終局面に入った。理想の終わり方は、というものだ。吉澤氏はホワイトボードに「PPK」と書いた。PPK?
「お若い人の間では、「KY」なんて言葉も流行っているようですね。それではPPKは何の略語でしょう。若い人を代表して、小松さん」
吉澤さんに指名されてしまった。ええと、正直にわからない。そう告げると、教室中が笑いに包まれた。ありゃ、結構有名な言葉なのね…お恥ずかしい。お伺いすると、なんと「ピンピンコロリ」の略。元気に生きてサクッと逝くというのが最近の理想らしい。あっさりとした死に様が良い、そう考える人が多くなっているようなのだ。
若者の間では結婚観が多様化しつつあり、オリジナルスタイルで新しい生活をするカップルが増えているけれど、もしかしたら高齢者の間でも終末観がどんどんユニーク化していってるのかもしれない。若いもんに負けず、どんどん新しいスタイルを実現して欲しい。そして未来につなげていっていただきたいものだ。(小松朗子)
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