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2008年5月16日 (金)

 『吉原 泡の園』第64回/女性の調達ルート

 吉原ソープで働く女性の入れ替わりは激しい。ボーイもけっこうなものだが、女のコ程ではない。
 通常、スタッフの入れ替わりが激しい業界は、個人の夢や目標の踏み台として利用されることが多い。そのため人が辞めるのも早いが、就職希望者も多い。求人を出せば均等が保てるのだ。

 ならば吉原ソープはどうか?
 吉原では女は商品である。コンビニでたとえるなら、おにぎりやドリンクと変わりはない。いうまでも客は飽きっぽく、浮気性である。おかげで息の長い女のコはほとんどにいない。大抵のコは自分が売れないことを店やボーイのせいにして違う店に移ってしまう。
 あまり売れない女のコでも、店にいてくれれば最低2本はボーイ達が頑張ってつけてやる。それでもつかなければ義理風呂になる。それほどのマイナスを背負ってでも、やはり店に女のコがたくさん在籍してくれていれば、経営の助けにもなる。店としてはよほどの奇人変人でない限り、女のコは留めておきたいのである。

 それでも女のコは辞めていく。2002年の当時、すでに性風俗産業は不況の兆しがあった。完全に性風俗産業は底をついた感のある06年ほどではないが、売れないコは店を変えても売れなかった。そのため彼女たちは吉原を出て鶯谷に流れていった。デリバリーと呼ばれる無店舗型の性風俗のメッカだったからだ。

 とにかく辞められては困るから、ボーイも女のコには気を遣った。
 義理風呂に入ったコがR店に出張しにて来る時は、ひと騒動だった。姉妹店のボーイが義理風呂に来たという事実を女のコに悟らせまいとボーイも必死なのだ。そのコと義理風呂であたったことのないボーイが女のコに部屋を案内するのが鉄則だ。以前、馬鹿なボーイが、自分が義理風呂に入ったコとたまたま遭遇。
「ああ、あの時の義理のコ」
 などと口を滑らせ、それを聞いた女のコがワンワン泣き出し、仕事どころではなくなる事態に陥ったことがあった。

 ボーイは何としてでも女のコを店に留めておこうと必死なのだが、やはり店には残ってくれない。女のコが辞めたら穴埋めをしなければならない。求人雑誌に広告をぶつ。ナンバー○ギャル情報やナイ○タイといったソープ情報マガジンなどで募集するのも手だが、なにしろ広告代が高い。それに載せたからといって女のコが集まる保証はない。また、店長などがキャバクラなどにスカウトに行くこともあったが、やはり餅は餅屋。スカウトをしたところで畑違いで、なかなかうまくいかないのだ。
 新店長は、プロの風俗系スカウトマンとのパイプを持っていたため、店のコは8割方スカウトマンの紹介に頼っていた。ただ自ら進んで応募してくるコはけっこういた。ただし吉原ソープに就職活動に来るコは大抵プロの中のプロである。自身の代表AV作品などを持ち、それをプレゼンの道具にするコもいほどだ。もっともR店にしても他店にしても、当時の吉原ソープなら、ある程度のスタイルと会話術さえあれば、どんなコでも売りこみなど無用で採用した。とにかく喉から手が出るほど女のコがほしかったのだから。

「おいマル、鶯谷に面接のコが着いたから、迎えいってくれ」
新店長から言われ、颯爽とベンツに乗りこむ。
「ぶつけるなよ~」
 声が背中から届く。
 白いベンツで鶯谷に着くと、コンビニの脇でミニスカートを履いたかわいらしいコが立っていて。
「R店の面接のコですか」
 などと聞くとコクリと頷く。一見普通のコで、どうしてこの業界に足を踏み入れたのか、そのワケが気になったものだ。ラジオの代わりに新店長の自前のCDを流す。それを聞きながら駅から店までのしばしのドライブだ。
 その時だけは禁断の妄想などをしてみたりする。もちろん妄想だけだが、それならば自由だし、何よりタダなのだ。
 短い時間だが、白いベンツに2人きり。しばしのドライブデートを貧乏ボーイが満喫していると、あっという間に店につく。ただ、スカウトが紹介する場合、大抵余計なスカウト君まで同乗することが多く、バックミラーから後ろの2人の様子を覗うハメになったりするのだった。(イッセイ遊児)

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吉原(竜泉)と鶯谷の中間にあるガソリンスタンドで働いていましたが、場所柄?通り道?のため、ソープランドのお車がよく利用されておりました。ひときわ目立ったのが、真っ黒なリムジンしかもレースのカーテン付き。手洗い洗車で売り上げに協力していただきありがとうござんした。ある時、珍しく給油のみでした。誰か乗っているのかなぁとワクワクして、いけないと思いつつ、チラ見。後部座席には客ではなく女性。出張ではないだろうから、これから面接だったのかも。確かにきんきらきんのイメージだけど、面接の迎にこんな高級車使ったら、プレッシャーかけちゃうんじゃないかしらなど考えてしまいました。運転手は支配人自身でした(いつもカードでお支払いしているご本人だから)が、眉一つ動かさない。ソープランドは怖い人達と少なからず繋がりはあることは知っていたけど、女は金の為には危険と隣り合わせなんだなあとあの時実感しました。ボーイが店の女といい仲なんて御法度ですな。彼女、どうなったんだろう。スタンドは2年前に閉鎖になりました。今までご利用ありがとうございました。

投稿: ウルトラウーマン | 2009年5月27日 (水) 10時27分

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