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2008年5月 4日 (日)

冠婚葬祭ビジネスへの視線/第16回 みんなニコニコ霊柩車料金は無料

 こんな連載を持っているけれど、恥ずかしながら上京してからは通夜のお手伝いを一回した限りで、葬儀に積極的にかかわったことがない。よってここでどうのこうのと書いていても実情に全く即していないのではないか、そんな不安が日々付きまとっていた。
 しかし今回、通夜・葬儀とひととおり参列できる機会を得、行ってきましたよ落合斎場へ。見てきましたよ田舎と違う諸々を。

 式次第が進む中で、一番気にかかったと言うか笑ってしまったのは霊柩車の存在。

 落合斎場は、火葬場と葬儀式場が向かい合わせに設置された総合施設だ。葬儀から火葬に移行する流れはもちろん、火葬のみも可能だし、火葬後のお食事会を組み込んだプランも提供している。火葬場と葬儀式場が一緒になっている施設にお邪魔するのが初めてで、移動時間が少ないから楽だなあ、くらいに思っていた。葬儀が終わり、花を大量に棺に入れ、蓋を下ろして霊柩車へ。さあお旅立ちだ、と手を合わせたとき。

 ん?

 火葬場が目の前……ということは。

 そう、霊柩車は高らかにクラクションを鳴らして出発していった。ぐるりと回って火葬場ウラの入り口へ。故人が霊柩車に滞在する時間は、わずか2分。って、短いよ! そして合わせた手を元に戻したあと、遺族は歩いて向かい側の入り口から火葬場へ。うーん、遺族もバスに乗り込んで何分か揺られ、という図がないとなんだか物足りないなあ……まあ、この「なんだか物足りない」という感覚こそが、滞在時間2分の霊柩車を生み出したのであろうが。どう考えてもそのまま手移動、もしくはキャスター移動のほうが効率がよいのにもかかわらず、裏から回り込むという小技を使ってまでも霊柩車を使いたい。クラクションを鳴らす霊柩車に向かって手を合わせたい。積極的にそれをしたいと言うわけではないけれど、なかったならばなんとなく寂しい。判るような気もする。しかし、「霊柩車を見送り、火葬場まではバスに揺られて20分」の世界にいた小松には、不謹慎なユーモアさえ感じられるお旅立ちだった。

 問題は霊柩車料金。こんなんで金を取られたらたまらないと落合斎場(施行:佐藤葬祭)のホームページで調べたところ、セット料金の明細に「霊柩車使用料」はない。それはそうだろう、とひとまずほっとする。だがしかし、霊柩車料金は葬儀屋にとって結構重要な項目のはずだ。初期投資が半端な額じゃない分、遺族はラッキーだが、結局霊柩車自体は用意せざるを得ない葬儀社のほうが泣きを見ることになるのだろうか。当然、その分も配慮しての料金設定だろうが(おそらく火葬場の使用料などにそっと組み込まれている、多分だけど)。

 まあ、表面上は霊柩車料金がないから遺族はニコニコ。揉めない上に他の料金で上乗せできる葬儀社もニコニコ。しかしこれは「葬儀には霊柩車が必要である」という常識が浸透しているからこそ成り立つものだ。小松が遺族だったら「こんな距離で霊柩車使うのなんてばかばかしいじゃん。その分安くなんない?」とゴネてしまいそう。え、葬式代をまけろだなんてバチがあたるって? そんな常識も、確かにアリマシタネ。(小松朗子)

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