書店の風格/第1回 WonderGOO 守谷店
「吉原 泡の園」もひと段落ついた土曜日連載。これからは新入社員・営業の奥山が、日ごろお世話になっている書店様訪問記を書かせていただきます。「訪問」なんて言葉を使うのもおこがましいくらい、不躾にただただお邪魔しているだけなんですが…アポイントもとらずに押しかけていって突然呼び止めて仕事の手を休ませて、ようするに「今度本を出すので置いてやってください」に帰結する下手な話を繰り出すしかない私なんかを2分でも3分でも相手してくださってありがとうございます。本当に感謝申し上げます。
というわけで第1回目の感謝はWonderGOO 守谷店様に。
WonderGOO 守谷店は茨城県守谷市にあるバイパス沿いの大型店舗。同じ店内にTSUTAYA、同じ敷地内にHARD OFF、HOUSE OFF、Right On、カフェなどがあるエンターテインメント空間だ。
中高生が自転車で出入りするのが頻繁に見られ、若者の遊びスポットになっているもよう。
店内に入ると手前右側に携帯コーナー、左側にコスメコーナーが見える。真ん中を貫いているのが本のコーナーで、さらに奥のほうにTSUTAYAがある。本のコーナーでは古本も扱っている。新刊本と棚分けはされてあるが、棚自体は同じ物を使っているので見た目は新しい本とそう変わらない。ただ値段が違うだけ、そんな印象を受ける。これなら古本に抵抗のある人も、手が伸びやすいかもしれない。
ブラウジングしたあと、ケータイ小説の棚に向かった。ここWonderGOO 守谷店は、とくにケータイ小説の売れる大型店舗-そんな風に伺っていたから、一度拝見してみたかったのだ。
そして、ありました。私たちの『あの頃』が。
さらに三面で展開されたケータイ小説、およそ80タイトル! どの本も4~5冊程度で積み上げてあり、奥に配置された本も手に取りやすい。手書きのPOPもあり興味を惹かれるし、なにより通路が広く解放感にあふれている。ところどころに試し読みしながらくつろげるソファもある。ゆったり本を選べるこんな環境なら、どれだけ豊富に種類があっても自分だけの一冊をじっくり決められるだろう。まさに本好きにはたまらないお店だ。
今や若者のアイテムとして市民権を得たかに見えるケータイ小説、今は何が来ているのか? 文芸書担当、Mさんにお話を伺った。
「全体的に人気のある分野ではありますが、今、強いて言うとしたらコレですかね」
そう言って示したのは『戦場のサレ妻』(主婦の友社)。上下巻に分かれており、いたってシンプルな真白装丁。たしかチラリと書評を読んだことはあった。が、浮気されてしまった妻(=サレ妻)の内部葛藤から始まり、家庭崩壊へと進む昼ドラっぽいつくりのはず。とすると、ええと、コレを買う年齢層って・・・・・・
「もちろん、買うのは中高生よりも少し上の世代ですよ。夫婦の物語ですからね。女性だけでなく、男性も買われます。でも、ケータイ小説自体、実際は若者だけじゃなくて少し上の世代の人も買っていきますよ」
Mさんによると、20代後半と思しき人々も買っていくという。さらには親子で買われるお客様もいるとか。今までどこのお店で聞いても「固定読者層がいる」「若者が買っていく」という答えしか返ってこず、人気があるにもかかわらず閉鎖的なイメージのあったケータイ小説が、このお店では10代女子以外にも売れるという。しかし改めて棚を見て合点がいった。ケータイ小説専用の棚、のように見えるが、ライトノベル風の小説もちらほらと置いてある。そして隣接するのは新刊・話題の本の棚だ。ケータイ小説をひとくくりにしないで、あえて他のジャンルや人気商品に馴染ませる--そんな棚作りが対象年齢の読者のみならず、様々な世代の人に本を手に取りやすくさせているのではないか。
ケータイ小説=若者の読むモノ、という図式が、ここから変わっていくかもしれない。そう思わせる書店だった。
棚だし、レジとお忙しい中、にこやかに応じて下さったMさん、本当にありがとうございました!(奥山晶子)
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コメント
ひとを緊張させる人間というのは最悪で、しょせん三流どまりってとこがあるんでしょう。
夢は夜ひらく
http://www.youtube.com/watch?v=q_j8NR5WhwI&feature=related
投稿: 巻太郎 | 2008年4月19日 (土) 01時41分