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2008年4月 6日 (日)

冠婚葬祭ビジネスへの視線/第13回 潜入! 葬祭派遣

 葬祭派遣というビジネスがある。
 実際には「葬祭にかかわる一切の業務」を派遣対象としているので、葬儀会場でベタつきになることももちろんあるが、その次に多いのが生花店のお手伝い。そして花輪店のお手伝い、テントなど外装のお手伝いと、力仕事が主らしい。
 葬儀は生ものだから、いつ発生するかわからない。急に忙しくなる、急に暇になる、ということが日常茶飯事の職業だ。よってアルバイトを確保することがたいへん難しい。あらかじめシフトを決めてしまうと、結局忙しいときに人が足りなかったり、暇なときに人が余ったりすることを止められない。
 その点、一日単位で人を派遣してもらえたら葬祭業者としてはだいぶ助かるだろう。ただ、問題なのはそのスキル。葬儀の場にディレクターの一人として直接かかわるのならば、ある程度の知識と経験がなければお話にならない。日常には見ることのない仏具や祭壇装飾の部品、一般人には先の見えない段取り、そして今どき尺貫法。
「曲録持ってきて」
「引導のあと、マイクはずして」
「8尺幕張っといて」
 …ありがちな指示だが、素人にはお手上げだろう。ディレクターは仕事中は忙しいのが常で、自分のところの新入社員でもなければいちいち構っていられない。ましてや雇ったその日に役立つ人を遣わすのが派遣業。いったいどの程度の経験があれば一人前だと、葬祭派遣は考えているのか。

 考えるよりも聞くほうが早い。登録だけなら働かなくとも良いであろうと、先日、「未経験歓迎」と銘打ってある葬祭派遣会社に話を聞きに行ってきた。

 最初に経験者であることを告げると、そうなんですか、と言ったあと気まずそうな顔をされた。
「ウチの取引先は葬儀屋さんというよりも、花屋さんが多いんです」
 なるほど、「未経験歓迎」にはそういう意図があったのね。お花屋さんなら、体力仕事が中心。花の名前を覚えるのは大変だけれど、基本的に葬儀の流れに関係のないところにいられる。ただ、お花屋さんでアルバイトするという感覚で考えるとけっこう高い日給。1万円から最高のレベルになると2万円近くまで上がる。
「最初は葬儀会場に出入りするお花屋さんで働いてもらいます。ランクが上がるたびに、モノの名前や仕事の曲流れをどれだけ覚えたか確認させてもらって、だいぶ慣れたら葬祭に移行してもらうんです」
 うーん、なかなかうまい事を考えるではないか。力仕事をしているうちに葬儀の流れを盗み見て覚え、そっちのお手伝いもできるようにしていくという段取りだ。
 一番下のランクからひとつランクアップするには、14日~21日の勤務日数が必要。あとは派遣先の評価によって検討し、面接を経てランクアップ。勤務日数が多くなれば自動的にランクアップするという訳ではないのが良心的だ。長く働くだけ働いてて、全く役に立たないという人もいるだろうからね。そういう人はそもそもどんな仕事にも向いていないわけだが。

 さて、登録会場には他に数名の登録者がいた。今後の抱負を問われたとき、皆それぞれ「お金をためて欲しいものを買いたい」「サービス業のスキルを磨きたい」「とくにない」と答えていたが、若者たちよ、自己実現にしか興味がないのか? 「葬祭」「派遣」で働く上での「抱負」と問われて「ご遺族のお役に立ちたい」とか「派遣先にかわいがってもらえるよう頑張りたい」という回答が出てこないもんなんだろうか。ドライなのもいいけれど、そういう気持ちが微塵もなければ「葬祭」も「派遣」も向いていない気がするんだが…(小松朗子)

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