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2008年3月19日 (水)

武藤敏郎日銀総裁NO!は当然である

どうやら武藤敏郎日銀副総裁が総裁に就任する目はなくなったようだ。慶賀に堪えない。
私はずっと以前から彼が総裁になるなど許されないと訴えてきた(http://gekkankiroku.cocolog-nifty.com/edit/2006/07/post_3c77.html)。この記事では「武藤日銀副総裁の総裁就任を許すな」と題して彼の大蔵省時代の実態を述べた。幸いにして多くのアクセスがありグーグル検索ではトップ画面に来ている。アクセス数を伸ばすのが当ブログの目的ではないけれど、このような記事をほんの少しでも読んでいただけるのは素直にうれしい。

それにしても民主党を中心とした野党勢力が武藤総裁案を不同意とした際の新聞論調はひどかった。どれもこれも民主党が悪いとの言いようである。そう書けば与党・財務省・日銀・財界へ一挙に恩が着せられるとでも思ったのであろうか。浅ましい。

前掲記事で述べたように武藤氏は旧大蔵省時代にゲンコツを食らいながら組織に助けられて事務次官まで上り詰めたうえで次期総裁含みで日銀へ送り込まれた。こうした人物が組織に逆らう決定などできようはずがない。確かに旧大蔵省出身というだけで財金分離ができないと決めつけるのは雑な論理だ。しかし武藤氏は組織に助けられて今日のある身である。下世話な言い方をすれば鼻毛を読まれている。
だから財政(=財務省)の論理を金融の立場ではねのける芸当はできるはずがない。「誰のおかげだ」と組織が言わなくても本人は身にしみている。5年間の身分保障と中央銀行総裁の栄誉に加えて年間3000万円以上の給与は「誰のおかげだ」と。

日銀総裁が同意人事になった経緯を考えても武藤総裁はあり得ない。旧法を改め独立性を高めた現在の日銀法が施行されたのは1998年4月1日。その1ヶ月前に東京地検が日銀を捜査して当時の松下康雄総裁が辞意を表明した。いわゆる大蔵・日銀不祥事のクライマックスに重なった。その頃に武藤氏もまた大蔵省における責任を問われて1ヶ月後の98年5月、官房長から総務審議官へ格下げとなった。
かの麗しき「ノーパンしゃぶしゃぶ楼蘭」も舞台となるハレンチ行為の一端を担い、新日銀法施行の直後に責めを負い、国会の同意はその新法に始まる。そもそも日銀法改正自体が直前にあった大蔵スキャンダルに基づく「大蔵省改革」の一環だったのを考え合わせると武藤氏が日銀総裁になるなどあり得ない選択なのだ。
民主党の反対理由がわかりにくいというのはある。なぜ「ノーパンしゃぶしゃぶ楼蘭」という決めせりふを使わないのか。約10年前の忘れてしまった出来事も、この言葉1つで国民の脳裏へ鮮やかによみがえるはずだ。
あまりに下世話? 勝負に下世話も上品もなかろう。あまりに古い? 民主党は武藤氏がことさらに財務省寄りであると証明したいのであれば正に大蔵省時代の彼がいかがであったかを持ち出すのがむしろ効果的である。官房長という要職にありながら組織防衛のため結果的に国民に対してうそをついたという以上に彼を財金分離の観点から不適格とする理由はなかなかない。

財金分離は大切だ。しかしより大切なのは20世紀末にさまざまな形で浮き上がり「大蔵省改革」に至った旧大蔵官僚が、その失地の責任者の1人を日銀総裁にいただくことで政治的に復権する、ないしは「古い昔話」へ転じてしまおうとする野望をくじくことだ。そのために武藤総裁を摘んでしまえばひとまず成功である。摘むためには民主党は政府の新提案を飲んだ方がいい。これもつぶすと再びムトウの名が浮上する恐れがあるからだ。

政府は田波耕治元大蔵事務次官を新総裁候補としてきた。政府・与党側に立てばなかなかのくせ球を放ったと評価できよう。一連のスキャンダルの最中には官邸にいて事後処理として次官になった人だから。この人物もまた元大蔵次官という点で武藤氏と同一であり反対というのは筋は通っているものの、これまた下世話な言い方をすればミソもクソも一緒である。
なるほど財務省のメンツが立つ人選は私も面白くない。でもこれを飲めば武藤案は消える。武藤案を消すというだけで財務省のメンツは立ったようで実は大きく崩れる。少なくともああした過去を持つ者は中央銀行のトップにはなれないという事実と、いくら総裁含みで財務省が5年がかりで仕込んでもダメなものはダメという先例を残せる。飲んでしまえよ民主党。一発ノックアウトはできなくても政権に大きなボディーブローを効かせることはできるのだから。後はガソリンと年金でクビを取りに行けばいい。

これもけっ飛ばすと、そもそも国会の同意人事という制度が日銀の独立性を脅かす元凶ではないかという方向へ飛び火する恐れがある。この点は今の日銀法が成立した97年頃から問題視されていたし一定の説得力もある。松下総裁辞意後の速水優氏を後任に充てた際に同意人事とすると速水氏を面白くないとする議員の反対で難航するのを恐れて98年4月1日の新法施行直前にドサクサで同意を回避した例もある。その時も今と同じく内外の金融情勢に大きな問題を抱えている時期に総裁を空白にすべきでないとの論理がまかり通った。矛は納めどころが肝心である。
とりあえず武藤総裁でなければそれでいい。今や日銀総裁がツルの一声で決めた公定歩合で金融政策が右往左往する時代は遠く過ぎ去った。日銀政策委員会金融政策決定会合で総裁の決定権は9分の1に過ぎない。そこで決められる無担保コール翌日物の誘導目標もあくまで目標であって今日現在0.5%という政策金利を上回っている模様だ。もっとも本当はこちらの方が問題なのだろうが。(編集長)

今日の関連記事inブログ:

http://uraban2.txt-nifty.com/blog/2008/03/post_1f36.html

http://kenuchka.paslog.jp/article/847214.html

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コメント

初めまして、きくしんと申します。
トラックバック有難うございます。

本当に新聞論調は民主党を含めた野党の責任ばかり書いていたようですね。

しかし、国会議員の皆様は日本の将来像は考えていませんし、この日本にはリーダーが不在ですね。

投稿: きくしん | 2008年3月20日 (木) 09時08分

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