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2008年3月 5日 (水)

「求めない」福田首相の居座り大作戦

組閣は居抜き。改造もしない。そして衆議院解散もしないまま09年の任期満了まで首相で居続けるつもりではなかろうか。

「首相さえその気になれば衆議院は解散できる」ということを証明してみせたのは小泉純一郎首相(当時)だった。憲法7条の解散は天皇が「内閣の助言と承認」に基づき行う。内閣の構成員は首相が決める。罷免権もあるので「解散に反対だ」と全閣僚が言い出したら全員クビにすればいい。
内閣の半数は国会議員でなければならないが首相はもとより国会議員なので、究極は1人オレ様内閣にして解散を「助言」すれば解散だ。理由などどうでもよろしい。解散したければ「解散したいから」以外の理由で、いやその理由でさえも、解散できる。

こんなことはわかっていたはずだ。でも実際にはできまいと思っていた。海部俊樹首相は「重大な決意」=解散を口にしながら党内の反対に押されてできなかった。羽田孜首相は多数野党からの内閣不信任案可決を見越して解散を打とうとして果たせなかった。羽田氏の場合は7条ではなく解散か総辞職かの二者択一を迫られる69条だったのにできなかったのだ。
日本人はまだまだ朱子学的だったのだ。事実として首相の解散権を制約するものはなくとも仁義なり信義なり礼といった「理」が備わっていなければならない、と。小泉郵政解散はそれを破った。小泉首相は衆議院可決、参議院否決の法案を国民に問うという手続き的にも理由も何の「理」もない解散を「命がけ」で行った。その瞬間に海部首相や羽田首相は「理」を守ったのではなく「命がけ」ではなかったかのようにくすんだ。逆にいうと小泉決断が光った。それで大勝した。

皮肉なことに後をおそった安倍晋三政権は参議院通常選挙で大敗して、郵政解散時には廃案かせいぜい継続審議だったはずの衆議院可決、参議院否決が頻繁に起こる可能性が高まった反面で、そうした対決法案がコイズミのもたらした衆議院与党議席のおかげで再可決できるようになった。すなわち今の衆参の議席では郵政解散さえ打つ必要はなくなったのである。
そこに登場した福田首相は小泉首相とは正反対の教訓を得ているのではないか。すなわち「首相さえその気にならなければ衆議院は解散できない」と。69条の内閣不信任案可決は今の衆議院の議席を考えれば起こりえない。与党内がいかに不満でも野党提出の不信任案へ乗るわけにはいくまい。乗っても10人や20人の造反では可決できない数である。
しかも郵政総選挙は与党に小選挙区数と同程度の議席を与えてしまったから現職全員が再選を目指すとなると余っている選挙区すらない。公認権を持つ執行部にどうして逆らえようか。
となると7条解散しか現実にはあり得ない。でも福田首相がしないとほおかむりした以上は絶対できない。参議院で問責決議が可決されようが、支持率がつるべ落としになろうが、経済がどん底になろうが「解散しない」と首相が決めたら起こらない。
公明党は来年の東京都議会議員選挙の後の任期満了総選挙は嫌だろうが、それでもやらなければ解散はない。首相にとって幸いなことに任期満了と総裁任期はほぼ同じである。したがって自民党内の理由で引きずり降ろされる心配もない。補選以外の国政選挙もない。

通常は首相になった以上は解散権を行使してみたいはずである。しかし現在の衆議院与党議席数を考え「維持以上」を勝利とすれば勝ち目はほとんどない。言い換えれば解散すれば必ず負ける。福田首相に何か国民へ信を問いたいテーマがあったとしても「与党減少」の結果しか出ないとわかっているゲームを、あのプライド高い福田氏がする理由がない。ついでにいえば国民へ信を問いたいテーマがあるとさえ思えない。
支持率急落は好材料でさえある。そうなればなるほど「福田首相で総選挙は戦えない」ムードとなるから解散は先延ばしなのだ。ものすごく勇気ある政治家が自民党内で「福田おろし」を成功させたとしても解散すれば議席が減る理屈は変わらない。そうこうするうちに日々はうつろに過ぎていく。

たった今、08年3月になったばかり。任期満了総選挙は09年秋。1年半も先の話だ。この間に日本の劣化(とくに経済)が回復不可能なまでに進んだとしたら国民は一時の熱狂で総選挙で1票を投じた罰を受けたことになる。その後に及んで後悔しても始まらない。「首相さえその気になれば衆議院は解散できる」と同じ以上に当たり前だったはずの「衆議院議員の任期は4年」の重みを痛感する。
ロミオとジュリエットの恋は一昼夜。1年半は長すぎる。福田首相は寝て暮らす覚悟だろう。しかし大半の国民は寝て暮らしているわけにはいかないか、寝ているうちに餓死するかだ。(編集長)

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