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2008年3月15日 (土)

『吉原 泡の園』第59回/商品は女です

 働いているときは誰しも真剣だ。売り手と買い手が火花を散らす。仕事が成功しなければ生活できないし、欲しいものも買えない。だから仕事は苦しい。
 売り手側に立っていると、自分は嫌な客だけにはなるまいと思う。それは客の店舗スタッフのいやらしさに日々泣かされているからだ。金にも女にも……。

 改めて書くとヘビーだが、ソープランドの商品は女である。それを90分間お客様にレンタルする。レンタル時間内は何をやっても構わない。その代償として6万5000円を払う。おそらく日本人の9割以上が、この金額を聞いて「高いなー」と思うはずだ。
 だからこそお客も真剣に女性を選ぶ。同じだけの情熱を賭けて仕事にも真剣に挑めば大成功するだろうな、と思うほどに。
 ボーイはそんなお客のさまざまなニーズに答えていく。

 車を買うときに「燃費の良い車はどれですか」などとたずねることもあるだろう。車の性能をスタッフに聞くのは、ディーラーでは当然だ。同じことがソープでも起こる。
「新人のコはどのコですか」
 ボーイが受ける質問でかなり多いのがコレ。
 ただ問題なのが「新人」に2つの意味があること。当店での「新人」と「素人新人」である。聞き慣れない言葉かもしれないが、「素人新人」とは性風俗産業自体の「新人」さんを表す。そのため時にとんでもないクレームが舞い込むことも。
「黒い、ありゃ新人じゃあねぇ!」
 などといきり立ち、ボーイを怒鳴りつける客がいるのだ。
 素人新人を頼んだつもりで
「新人な」
 としか言わなかったため、ソープ勤めの長い「当店での新人」にあたってしまい、予想より女性のアソコが黒かったという「悲劇」!?である。ときには女のコに直接それを言い放つ、風俗遊びの道を外れた客までいる。
 もちろん女のコもそんなことを言われれば泣く。大泣きもする。ともすれば
「もう帰る」
などと言いかねない。そんな時、店長などが女のコを慰めまくるのである。

 また指名した女のコが「マグロ」だったなんてクレームも押し寄せる。
 「マグロ」とは男に攻められるだけでウンともスンとも言わない、ただ寝ているだけの女を指す。これは市場に並ぶ冷凍マグロと同じ状態だということから付けられた隠語らしい。

 あるときには
「おい、あの女全然感じねえでやがる」
とお客が怒鳴り込んできた。
「はあ、そうですか」
 ボーイとしてはそれくらいしか言えない。
「でな、『なんでお前は感じねえんだ』と聞いたら、『初めてのお客さんだと緊張して感じないんです。2度目だったら感じるかも』だとよっ!
 2度ってお前、1度目の具合で、また遊びに来るかどうか決めるってもんだろ、ふざけるな!!」
「すみません。女性も生ものですので」
 などとは言えるはずがない。丁重に謝るだけだ。レンタルした商品が「機能」しなかったということなのだから……。

 しかしボーイにとっての頭痛の種はお客様の怒りだけではない。こうしたトラブルにより、時間を余らせたままお客が途中であがってしまった場合の女の子の気持ちが問題となる。じつはこうしたケースで、女のコは精神的にかなり追いつめられてしまうものなのだ。
 女のコは性のプロであり、男性の溜まった精子を出してやることで高い報酬を得ている。もちろん、それなりの容姿を備え、知識も会得しているとも自負している。そんな彼女たちにとって途中でお客様が帰ってしまう事態は、プロ意識をズタズタにされてしまう。

 そして、さらに大きいのが女性としての価値まで、お客はもちろん店からも否定されたと感じてしまうことだ。まさに裸一貫、女のコたちの最後の生きるよすがこそ女性として価値である。それを破壊された女性の悲しみは深い。(イッセイ遊児)

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