冠婚葬祭ビジネスへの視線/第10回 和婚主義!(前編)
すっかり忘れていたが、この連載のタイトルは「冠婚葬祭」ビジネスへの視線、である。ということは、葬儀のことばかり扱っていてはいけないのだ。たまには「冠」「婚」「祭」のことも扱わなければ。しかし「冠」と「祭」でビジネスを語るというのもなかなか難しい。今回は「婚」で我慢してほしい。
というわけで「婚」。昔、巫女バイトやドリンクサービスの手伝いは山ほどしたことがあるけれど今の事情はとんとわからない。基礎から攻めてみよう! ということで、買いましたよ「ゼクシイ」リクルート社より。これが発刊されてから結婚式の事情が変わってきたのだと100万回くらい聞かされたものです。「自分たちらしい結婚」を模索するようになったカップル(主に花嫁)が、結婚式場を、披露宴会場を飛び出し、チャペルへレストランへ海外へ家へ(ハウスウェディング…)乗り出した、と。
噂の「ゼクシイ」はとある知り合いが毎号買っていたためけっこう馴染みがある。が、結婚情報誌って毎号買うものか? どんだけ結婚したいんだよ…と今更ながらしみじみ思う。30歳の誕生日に入籍した知り合いを思い出しながら、しみじみ思う。
そして3300グラム。この数字を聞いて、雑誌の重さだと即答できる人はそうそういまい。「ゼクシイ」首都圏版4月号の重量である。確か専用布袋のついている号もあったはず、付録としてではなく書店用としてだが。しかし今回はついていないようで、めったにいただくことのない二重紙袋にそっと入れてもらった。500円の買い物なのに大仰なことだ。これを持ち歩いて新生児の重さを覚えろという一石二鳥のたくらみなのだろうか。…自分で書いておきながらまったく意味がわからない。手のひらに食い込む重さへの怒りで我を忘れてしまった。失敬。
久々に読むなあ、と思いつつページをめくる。記事の中身はまったくかわり映えしない。「結婚準備最速スケジュール」、「結婚の思いがけない出費37」、「披露宴BGMベスト30」などなど。かわり映えしないでなぜ許されるのかというと、当然のことながら継続して購入する読者というのを念頭には置いていないからだ。先述の知り合いのように一部例外もいるが、基本的には学研における学年雑誌のような立ち位置である。そんなマンネリの中、流行が垣間見られるシーンがちらほら。神前式、もしくは和装の写真が多い。「和婚」という言葉は薄く聞いたことがあった。日本の伝統を大事にし、和装、もしくは神社で、または親族同士で和気藹々と結婚式をするスタイルのことだったと思う。しかし、和式での結婚スタイルは本当に今、ブームなのだろうか?
私は1998年から2002年までの4年間、結婚式場の巫女バイトをしていた。あくまで祝祭日の場合だが、98年には1日8件あった神前式の施行は、02年には1日2件になってしまっていた。チャペル式に完全白旗を揚げたのである。それがわずか5、6年で再燃するとは思えない。最も色あせやすいであろうファッションのブームだって20年かそこらの周期である。はて、今まさにじわじわ火がついているところのか、はたまた大ブームなのか、雑誌が騒いでいるだけなのか。
実際のところをできる限りこの目で確かめたい。ので、もう一週待ってくださいませ。(小松朗子)
| 固定リンク
「冠婚葬祭ビジネスへの視線」カテゴリの記事
- これから増えるかも? 都市部の「自宅葬」(2013.04.26)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/自由に弔われる時代がやってくる(2012.10.21)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/安置難民を救う「死者のホテル」りすセンター・新木場(2012.05.15)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/「戒名料」という名前がダメなのかも(2012.04.22)
- 冠婚葬祭ビジネスへの視線/3.11も稼働した「りすシステム」の見守りサポート(2012.03.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント