バレンタインとデジタル・デバイド
先週、フードデバイドについて書いた。そこまで深刻じゃないが、ちょっと気になっているのが食品とデジタル・デバイドについてである。
じつは2月2日にチョコを買いに行った。といっても同性愛者になったわけではない。チョコ好きの友人から頼まれ断り切れなかったのだ。お目当てはヴィタメールの「薔薇のショコラ」2100円也。(高いすぎでしょ、コレ……)
バレンタインデーが近づくと売り場も混むし、何より女性の集団に負けずに購入する元気も勇気もないので、2月2日(土)の開店直後、日本橋高島屋に出向いた。もともと顧客の年齢層が高い日本橋店だったこともあるのか、バレンタインデーの特設会場はガラガラ。ところがヴィタメールの売り場で死ぬほど探しても、お目当てのチョコがない???
高島屋のバレンタインデー特別販売期間は1月30日からで、3日間しか店頭販売していない。まさか売れ切れでもないだろう。だとしたらメーカーを間違えたのかもしれない。
でも、ただでさえ会場で浮いているで店員に尋ねる勇気もなく、特設会場入り口に置いてあるバレンタイン用のパンフを見直してみた。ところが、やっぱりお目当てのチョコはヴィタメール製だった。
結局、ショーケースにかじりついて探し、そのあといきなり会場入り口に戻ってパンフをめくり、また脱兎のごとくショーケースに戻ってくる不審な客となった店員に質問した。
店員さんによれば、「薔薇のショコラ」はネットで注文が殺到。もう店頭への入荷の見通しが立たないとのこと。「じゃあ、どうすればいいのか」と質問すると、個数の制限を超えていないならネットで注文するのが確実とのこと。実際、ネットで注文して商品が届いたのだが、このメーカーの対応は面白いと感じた。
ネットで人気が出ているとなれば、店舗でも売上げが期待できるはず。でも実際には店頭よりネット販売を優先したわけだ。店頭販売用のパンフレットに写真が掲載されていたのにもかかわらずである。
ただ、理由はわからなくもない。とにかくネット注文が殺到しているのだから、天気によって売上げが左右される店頭よりロスが少ない。また、店頭なら「売れ切れです。もうしわけありません」と言われたらけっこう納得しやすいとも思う。少なくとも「もう売り切れなんてさいてー!」とかネットに書き込むこともないだろう。
デジタル・デバイドとは情報量の差から生まれる格差と考えていた。例えば転職などは紙媒体よりネットの方が質が高いといわれる。企業側も「ネットぐらい扱えないとね」ということらしい。そのためネットの情報を得られる人が有利になる。
ところが今回のチョコは「薔薇のショコラ」が売り出されるという情報を得ているかどうかの差ではない。購入方法を直売ではなくネットを選択することに格差が生まれる。
これと同じような構造を持つ食品としてルセットのパンがある。2斤近くあるパン1ホールで3000円。驚愕の値段だが、とにかく大人気らしい。で、問題の購入方法だが商品はすべてインターネット販売。携帯電話経由のネット販売も受け付けていない。ホームページなどを読むと、めちゃくちゃこだわって作るため作れる個数も限られており、ネット注文に応じて販売するのが合理的らしい。
食品は賞味期限があるだけに店頭で売ればロスが生じる。逆に大人気の商品を店頭販売すると店の前に行列ができかねない。もちろんネットで販売すると送料がかかるし、試食などができないという問題もある。それでも、こうした問題をクリアできる食品のネット販売は増えていくのではないだろうか。
かつて店頭販売と通信販売を比べれば店頭に優位性があった。チケットぴあに電話しても繋がらないから、プレイガイドに早朝から並ぶという選択肢があったわけだ。ところが、この優位性は逆転しつつあるのかもしれない。
ネットを当たり前に使いこなしているとあまり感じないが、じつはネットに接続できない人は少なくない。デジタル・デバイドについ、ちょっと考えさせられたバレンタインだった。
もっと考えることもありそうだけどね……(大畑)
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