冠婚葬祭ビジネスへの視線 第3回/葬儀費用はどこまで控除の対象となるか
先週、葬儀の費用について少々触れたので、ビジネス路線からはちょっと外れるが今回は葬儀費用と税金についてチラッと紹介したい。もうすぐ確定申告の季節になるし。もちろん専門家ではないので参考程度にしていただきたい。
確定申告では医療費控除、寡婦控除、障害者控除など福祉の目線に立って様々なものが控除の対象となっているが、では葬儀費用は控除対象になるのかというと残念ながらならない。でもくじけてはいけない。確定申告では無視されるが、企業の介入しない個人葬であれば相続財産に関する手続きの際に控除対象となるからだ。相続税申告の対象者となりそうな方々のために、せっかくなのでよりサイフに負担とならない葬儀の方法を資料を絡めて考えてみたい。
国税庁の発行する相続税基本通達第13条には以下のようにある。
13-4 法第13条第1項の規定により葬式費用として控除する金額は、次に掲げる金額の範囲内のものとする。(昭57直資2-177改正)
(1)葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)
(2)葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
(3)(1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
(4)死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用
→通夜から葬儀まで一連の儀式をするにあたり伴った費用は、妥当な金額なら控除の対象となる。お布施もまた然り。導師を前にして「領収書ください」とは言いにくいかもしれないが。
(葬式費用でないもの)
13-5 次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないものとする。(昭和57直資2-177改正)
(1)香典返戻費用
(2)墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
(3)法会に要する費用
(4)医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用
→香典返しの費用は対象外。これは香典そのものが財産や所得として非課税であることにつながる。墓や四九日法要といった、一連の儀式から外れた出費も対象外。そのかわりといっては変だが墓所は非課税だ。
とかく遺された者が負担するイメージのある葬式だが負担は労力のみにとどめておきたい。そのためには精進落としの際に追加で買ったビールの領収書までもかき集めておくのだ。もちろん領収書は相続人の名前で貰っておく。ただでさえバカ高いイメージのある相続税、引けるものは引いておこう。
上の条項を踏まえると、葬儀をするにあたって一番痛いのは香典返戻費用ということになる。しかし香典返しというのは半返しが基本である。持ち出しはないものとすれば、人をたくさん呼べば呼んだ分だけ負担が軽くなるのだ。これは税金うんぬんを抜きにしても言えることである。最近は人を招ぶ気苦労を味わいたくない、無駄な出費を少なくしたいという思考から家族葬がブームだが、出費の少ない家族葬はもちろん入ってくるものも少ない。極力赤を出したくないのなら人をドカンと招ぶべきだ。「黒は黒字」を地で行こう。(小松朗子)
(参考資料:国税庁ホームページ内)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/aramashi2007/mokuji/02/01.htm
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku/02/03.htm#a-13_4
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4108.htm
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/shikata-sozoku2007/all.pdf
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