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2008年1月27日 (日)

冠婚葬祭ビジネスへの視線 第4回/公益社に見る葬祭業の複合性(前編)

 燦(さん)ホールディングスという企業体をご存知だろうか。「聞いたことないなあ」という方も、きっと「公益社」ならなんとなく知っているだろう。燦ホールディングスは、大手葬祭会社「公益社」を母体として生まれた持株会社で、グループには葬祭関連の企業がずらりと並ぶ。母体となって今は子会社の公益社を含めて9社。ざっと紹介すると、

関西自動車株式会社…霊柩車や送迎バスのレンタル
株式会社デフィ…生花・料理販売、イベント装飾
エクセル・スタッフ・サービス株式会社…清掃や警備などサービス関連の人材派遣
株式会社東京公益社…セレモニースタッフ派遣

その他、「公益社」とは別名になるが地方支社と思われる葬祭会社、公益社のみに向けてサービス提供する下請け的な役割を持つ物流会社、同じく下請け的な仏具・墓石の販売会社がある。
上に具体的に上げた4つは、葬祭のフィールドを飛び出して事業展開をしているだろうと思われる会社だ。
 送迎バスはなにも葬儀だけに使うものではない。法要、イベント、観光ツアーなど用途は様々だし、花屋だって料理屋だって葬儀の場に縛られなくて当然だ。もちろん墓石屋も、ひろく石材業者として展開するのであれば同様だろう。
 葬祭業は、様々な業種への展開が可能な複合企業体なのである。
 では、一番期待が持てそうな副産物的産業は何か。

 鎌倉新書が発行している月刊「仏事」平成20年新年号の記事によると、燦ホールディングス株式会社の小西幸治代表取締役社長は、これからの事業展開について以下のように話している。

「…伝承された技術やノウハウと関連のない分野には進出しないというのが当社の基本方針であり、現在の事業の延長分野にしか進出しない考えである。…(中略)…介護ビジネスや教育ビジネスなど、いろいろと考えられるが、そういった新しいポケットを早めに見つけていきたい。」(「仏事」2008年1月号、p.30)

 なるほど「葬儀」という人の悲しみをケアサポートする事業から「介護」「教育」とつながったのかもしれない。確かに「トータルライフサポート」を企業理念に掲げる同社としては、こういった発想になるのだろう。しかし、葬儀の現場というのはむしろ福祉や教育からは遠い。日常的に接点がない。理念からはつながるが延長分野かと言われると話が違う。
 では確実に延長線上にあり、これから伸びそうな分野はなんだろうか。
 それは誰がなんと言ってもイベント分野だろう。
 上で紹介したように、燦ホールディングスはイベント関連業もやっているようだが、この分野が一番面白く展開できるのではないか。
 どうしてそう考えるかは、書き出すと長くなってしまうようなのでまた来週。(小松朗子)

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