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2008年1月12日 (土)

『吉原 泡の園』 第50回/いざバスツアーへ

 ツアー当日は朝早く起こされた。まずは参加者からの確認電話の対応のため、早朝から店で電話番をする始末。続いてツアー参加者が電車で東京まで来る場合、お迎えもすると言ってしまっていたので、お車での送迎の待機をするのだった。
 KちゃんやTさん、マネジャーも眠たそうにしている。前日も深夜3時過ぎくらいに寝て、数時間で叩き起きるのだ。勘弁してよ、といった感じだ。
 バスは吉原の中に入って待機されると、それだけで目立つし、車何台分の駐車スペースを使うかわからないので、三ノ輪交差点付近の明治通りで待機してもらっていた。そこにツアー参加者が続々と乗りこみ、全員揃うのを待っていたのだった。
 店長はいつになくばっちりとスーツとパンチパーマで決めていた。その日は1人で添乗員とバスガイドを勤めなければならないのだ。僕が付いて行ってあげたかったが、1人欠けると店が大変になってしまうので無理だった。
 順調に時間が流れていたのだが、最後、花魁をバス待機所まで店から乗せて来い、という電話での指示があった。
 なぜかそういう大変な仕事は僕がやっていたのだが、花魁5人を送迎車に乗せ、いざ三ノ輪交差点へ、と発進。
 男1人に花魁5人。普段なら6万5千円を払わないと話したりも出来ない女のコを5人も1人占め、といったアホな事を考えていた。
 女のコ達は初めてのバスツアーに戸惑いながらも、どこか新鮮な感じを受けていたのか、お互い話しも弾んでいた。
「ねえ、オタクみたいなのいたらどうする」
「キャハハ」
 黙って聞いていると普通の若い女のコの会話なのだ。こんな世の中の底辺で生きていても、そんな彼女達の笑い声に救われる思いだった。安心していると電話が鳴った。
「おいマル、なにしとるんや、遅い」
 店長だった。イヤヤヤヤー。
 急いでバス待機所に到着するが、せっかくこれから楽しみのバスツアーなのに、みんな客は揃って着席しているのに、花魁達もバスにのりこんでいっているのに、店長は笑い顔の中に鬼が見え隠れしていた。
「おせーんだよ、ああッ、なにしとんや、ええッ、そうだろう、違うか」
 訳がわからなかった。だから気分屋の人はイヤヤヤヤー。と思いながらも、今日のお楽しみツアーを台無しにしては、参加者に申し訳が立たない。そう思い。
「はい、はい。そうです。すいません」
と必死に謝り、事無きをえたのだった。それにしても気分屋とは恐るべきなのだ。かくして、バスは無事に三ノ輪から出発。千葉県犬吠三崎を目指して、いざ出発なのであった。
 ツアー参加者が無事無傷で帰ってきますように、帰ったら1人足りませんでした。などないようにと祈るのであった。(イッセイ遊児)

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