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2007年12月14日 (金)

国民生活センターを整理かよ!

 独立行政法人の整理合理化が官僚の抵抗により、ほとんど進まないとマスコミで報じられている。天下りの温床であり、子会社を作って資金をプールしている独立行政法人もあるから「ガンガンぶっ潰してくれ」と言いたいところだが、その候補に国民生活センターが思わなかった。企業の不祥事が相次ぎ、消費者保護が叫ばれる最近の状況を考えればなおさらである。

 発端は今年9月に発表された内閣府国民生活局長の私的諮問機関である「国民生活センターのあり方等に関する検討会」の報告書だった。この報告書でも「消費者から寄せられる苦情相談件数も、平成18年度は約110万件に達するなど、高水準で推移している」と消費者トラブルが多発していることは認めている。実際、提言の3本柱は「情報の収集・分析・活用の強化」「消費者に対する啓発及び教育の充実」「消費者トラブル解決能力の向上」と業務の充実をうたっているのに、直接相談窓口を廃止し、商品テストを外部に出す業務縮小方針を打ち出したのである。

 しかもテストの一部を委託しようとしたのが、経済産業省所轄の製品評価技術基盤機構なのが気にくわない。経産省といえば、ずっと産業育成ばかりを考えてきた省庁である。消費者の安全と産業の拡大なら、迷わず産業側に付くDNAが組み込まれている。
 例えば原発問題では、原発を推進してきた経産省が原発の安全を監視する原子力安全・保安院を作り、電力会社を擁護しまくってきた。原発のひび割れが続出した東京電力が保安院の通達を無視したのに、その原発に「安全」のお墨付きを与えたりしているのだから、もう口アングリである。こんな省庁の所轄研究所に商品の安全性をチェックさせるなど自殺行為だろう。
 また、このようなテストに民間が参入すれば、建築基準法改正によって建築確認・完了検査を民間に開放し、大量の構造偽装マンションを生みだした悪夢の再現となる。
 直接窓口を廃止し、自治体の消費者生活センターで受け付けた情報に頼ると、国民生活センターまでデータが届くのに50日もかかるという。消費者生活センターが受けた膨大な数の相談をデータとして打ち込むのに大変な時間を要するからだが、そもそも組織の縮小で悪徳商法に約2ヵ月の猶予を与えるなど「改革」ではない。

 だいたい国民生活センターの問題は、そんなところにあるのではない。消費者からの情報が集められ問題の企業が特定されても業務停止などの権限がなく、所轄の官庁や企業に「要望」を出すしかないのが一番の問題だ。新聞報道によれば、NOVAへの行政処分は消費生活センターに苦情が寄せられてから10年近くたっているという。その間に何万人もの人がムダに高いチケットを買わされたことになる。
 また天下りの問題は行政独立法人の整理・縮小問題とは別にある。
 理事長を含む4人の役員のうち2人が内閣府から、1人が日本輸出入銀行からの天下りである。生え抜きはわずかに1人。経済企画庁の事務次官が天下っていることを考えると「美味しい」天下り先なのかもしれないが、こんな人事では味方であるはずの消費者から常に不審の目を向けられることになるだろう。

 結局、消費者団体や本弁護士連合会などの反対を受け、同法人の縮小はなくなった。しかし切りやすそうな場所から刃を向ける怪しげな「改革」には注意が必要だ。(大畑)

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