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2007年12月19日 (水)

新聞はでかすぎて厚すぎる

アクセス数をみていて面白いことに気づいた。新聞について書くと急減するのだ。これはすばらしい。新聞のことを書こう!

07年のアメリカ新聞界は大揺れだった。発行部数3位の新聞グループでシカゴに基盤を持つ「トリビューン」が不動産王に買収された。4位のダウ・ジョーンズはジャーナリズムのかけらもないマードックに身売り。ウォールストリートジャーナルがマードックの手に落ちたというのは驚きである。
前年の06年には2位のナイトリッダーがマクラッチーに買われている。これで業界は唯一の全国紙「USAトゥデー」を持つトップのガネットと5位のニューヨーク・タイムズに焦点が絞られてきている。
アメリカと日本の違いは発行部数である。USAトゥデーでさえ225万部。ナイトリッダーはもろもろ合わせて300万部。高級紙のニューヨーク・タイムズに至っては100~150万部。単一の題号で比較すればせいぜい日経から大きな地方紙程度の規模。日米の人口比を考えるといかにも少ない。

いや日本の全国紙の発行部数が大きすぎるのかも。読売1000万部、朝日800万部、毎日と中日新聞グループが400万部。特殊指定と再販売価格維持制度が「両輪」として機能しなければ維持できそうにない部数である。
ニューヨーク・タイムズは電子版が充実していて私は助かっている。大胆なネットへの移行をはかっているようだ。2・3・4位の新聞グループが荒波に飲まれている様子をとても平然とは見ていられまい。答えはネットしかないと業界の誰もが分かっている。しかし「紙」あっての新聞との観念はアイデンティティーに近いから輪転を止める勇気はない。かくして日本の新聞も恐る恐るネットに進出しつつも印刷は止めない。その紙代は高騰の気配にある。

新聞を読まない高校生に理由を聞くと意外と多いのが「でかすぎる」だ。ハラキリを避けるレイアウトだとちょうど真ん中で折って読むこともできない。考えてみれば全国紙の標準サイズであるブランケット判はA2より大きい。両面を広げたらA全以上である。よくよく考えるとこんなにでかい読み物は他にない。
といって半分サイズのタブロイドにすると「タブロイドになってしまう」という抵抗が起きる。日刊ゲンダイや夕刊フジと同じ大きさになれば成りまで同じに思われては堪らないとよくよく考えればどうでもいいところが気にかかる。書籍や雑誌では同じ判型で専門雑誌もあればエロ本もある。全国紙がタブロイド判になっても内容まで馬や裸を入れなければならない理由はない。紙代一挙節約となるのに、でも踏み切らないどころか議論にさえならないのは強烈な精神的抵抗線があるからだろう。でもそんなこだわりは前述高校生の「でかすぎる」の一言の前では何の説得力も持たない。
ページ数も多すぎる。80年代頃まではドンドンとページを増やすのが競争だった。一紙が増やせば他紙も追随する。もう36ページ建てにまでなってしまった。歴史上白のページを作ったことがない各紙は、したがって何らかで埋めねばならない。美意識として一行空白さえ許さないから仕様もない記事が入ってしまう。たいしたニュースがない月曜日の紙面はどこもスカスカである。だが下手に建て数を減らせば「薄い=貧弱」と批判されそうでできない。これまた作り手の被害妄想にすぎないと多分作り手自身がわかっていても踏み切れない。

でかい判型に多くのページ数となれば当然紙代がかさむ。一方で広告スペースは豊かになる。だがそれが有効なのは広告が入ればこそだ。この本山彦一が考案したビジネスモデルは今や崩壊の一歩手前である。私の会社は出版社なので新刊が出るとなれば三八ツに出稿しようかと思案しなくはない。三八ツとは一面などの下三段を八つ割にした書籍広告の定番である。
ここの実勢価格が実のところ以前では考えられないほど安くなっている。タイミングによっては驚くほど安い。それでもたいがいは見送る。安いというその値が惜しくなるほど効果がないからだ。三八ツを利用している御同業からも販促効果よりあいさつ代わりの経費と割り切っているとよく聞く。

結局何かの付加価値を見いださない限り新聞の未来は暗い。その点で得をしているのが朝日新聞だ。まず熱烈な支持者がいる。ただこの点は多少の差はあれ他紙にも通じる。朝日が強いのは熱狂的なアンチも抱えている部分だ。「左翼新聞」「どこの国の新聞だ?」「朝日の朝は北朝鮮の朝」みたいな朝日批判がネットでは至るところで垣間見える。
朝日新聞が進歩的で弱者に目配りして(だから左翼っぽい)いて反日だ……などという批判は記者クラブに一週間もいれば「シンジラレナーイ」である。そのように見せかけておけばファンとともにアンチも付いてくる。何か悪口を書くためには朝日を読まねばならない。悪口であっても何も触れられないより存在感が残る。『週刊新潮』なぞ朝日新聞の読者を増やす隠れファンではないかと思うほど。
もしこれが単なる成り行きではなく朝日新聞社のしたたかな計算に基づいているとすると……ネットで朝日罵倒を書き連ねている皆様は体よく踊らされている格好となる。(編集長)

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