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2007年12月12日 (水)

守屋武昌氏にまつわる問題の謎

まずなぜ守屋氏は07年11月になって逮捕されたのか。氏が防衛庁(当時)事務次官となったのは2003年。それから2年で交代が当たり前の次官職を4年超続けた。この間に彼の人事や人となりに関する否定的、批判的情報は雑誌メディアを通してほぼ公然と伝えられてきたのに居座っていた。その背景に官邸(小泉純一郎-安倍晋三時代)の庇護があったのは明白であろう。
07年7月、参議院議員選挙で安倍政権は大敗を喫する。その翌月には小池百合子防衛大臣が「守屋切り」を進めて守屋氏が激しく反発し官邸にまで押し掛ける。この時点で守屋氏が事務次官を続ける気は明白であったし、官邸との密接な関係が図らずも露呈した。
その安倍氏が官邸を去り、相前後して守屋氏も退官した10月から大マスコミが突如として「接待ゴルフ」疑惑を書き立て始めた。そして東京地検特捜部による逮捕となる。ただし容疑は単純収賄。

すでに雑誌メディアでちらほら報じられていた専横をトレースしたような出来事で地検が動くものなのか。動くかもしれない。特捜部や特別刑事部の検察官には怪文書まで含めて愛読者が多いから。ついでにいうと大マスコミの記者も同様。でも前者が事件にするか、する動きをみせない限り報じないのが習いである。官邸と職権というついたてを一度になくした人物をこの際一気に縄としようというのはわからなくはない。
でも「ゴルフ漬け」だけでは「おねだり妻」付きでも、いかにもつまらない。ワイドショーは別として。少なくとも特捜部が力こぶを作ってやりたいヤマとは考えられない。当然その先があるはずだと一応誰もが思っていることになっている。で、何があるんだ?

守屋問題周辺で具体的な事件となったのは宮﨑元伸元山田洋行専務による横領である。時期から察するに横領は宮崎元専務が山田洋行とケンカ別れして日本ミライズを創設するあたりだから、縁の切れ目と袈裟まで憎いがない交ぜとなった内紛劇が顕在化の背景にあろう。
その宮崎氏に守屋氏はゴルフ漬けにされていたので捕まった。宮崎氏が何の見返りも期待せずに守屋氏を接待するはずがない。どんな口利きがあったのか。いかなる職務権限に触れる、ないしは職務に密接に関連した行為があったのか。それはないと守屋氏は証人喚問でも言い切った。だったら受託収賄には持っていけない。
果たして請託はあったのか。今後の捜査を待つしかないのだが一般論として請託をしなくてもゴルフ漬けぐらいの接待を業者は行う。防衛利権の場合は相手の外資に「ジムジカントナカガイイ」と示すだけで有効だろうし、もっと単純に事務次官と仲良くしていて損はない。賄賂性を帯びるほどやりすぎたという話にすぎない。何よりここを執拗に追求する気が特捜部にあるとはこれまた一般論では到底信じられない。平たくいえば「そんなに守屋をいじってどうする」だ。
こうした文脈から特捜部はバッジをやりたいんだという噂がまことしやかに流れる。そこに守屋証言が重なる。国会の二度にわたる証人喚問で久間章生元防衛相と額賀福志郎財務相が宴席を同じくしたと証言したのだ。久間氏は入院と分かりやすい行動をとった半面で額賀氏の発言が要領を得ない。
いや要領は得てるのか。ハッキリ否定しているから。でもそうなると守屋証言が解せない。守屋氏が個人名を出したのは二度目の喚問である。議院証言法違反(偽証)がどれほど重いのか知っていての発言だ。変な話ゴルフ接待による賄賂罪より議院証言法違反の方が量刑が重くなる可能性が十分にある。だから守屋証言は彼に額賀氏を陥れてぬれぎぬを着せられるならば本件(賄賂罪)より重い懲役刑が科せられても構わないという格別のうらみでもなければ嘘をつく動機が全然見当たらない。

特捜部がこの守屋証言に興味を持ったとも思われない。守屋氏と額賀氏の両方を呼んで証人喚問を行うと決めたのが11月27日、喚問予定日は12月3日。もし喚問が行われていたらどちらかが嘘をついているとわかるか、額賀氏が守屋証言を認めるか、民主党が主張していた日時が間違いとわかって笑い話になるか、などの結果が考えられた。御用納めまでの拘置期間を考えても喚問後に動いて時間もある。伝統的に検察は国会の動きに棹さすのを嫌う。なのに11月28日に守屋氏を逮捕した。守屋氏の偽証にも額賀氏の宴席同伴にも検察が興味を示していなかった証拠であろう。
1998年の防衛庁調達実施本部事件も2006年の防衛施設庁談合事件も当初はすごい疑獄へ発展すると騒がれ、結局役人が何人か罪に問われておしまいだった。今度もその轍を踏み、軍隊(自衛隊)の決め事には警察や検察がほとんど立ち入れないとの前例を作れば平成のゴーストップ事件のような効果となる。決してアンタッチャブルではないと防衛省に知らしめるには「天皇と呼ばれた前事務次官の逮捕」で十分だと考えていたとしたら……合点はいくけど納得できない。(編集長)

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