キャロル・キングとメアリーJとファギー
ココログメンテナンスにより更新が遅れました。
“3 Great American Voices”と名づけられたコンサートに行って来ました武道館。
①キャロルはジミー・ペイジに似ていた
②ファギーはバルカン星人だとわかった
③メアリーJはウーピー・ゴールドバーグだった
出演もこの順番だった。
この三人の共通点がどこかは前々から話題となっていた。以下が私なりの想像。
①キャロルとメアリーJはニューヨーカーである
②キャロル作のナチュラル・ウーマン(A Natural Woman)をメアリーがカバーしている。この曲をヒットさせたアレサ・フランクリンとメアリーのキャラもかぶる
③ファギーのヒット曲であるグラマラス(Glamorous)をフィーチャーするリュダクリス(Ludacris)は自身の曲ランナウェイ・ラブ(Runaway Love)でメアリーにフィーチャーを受けている。ちなみにランナウェイ・ラブの歌詞は実に深刻である
④いうまでもなくメアリーとファギー(BEP含む)はヒップホップのジャンルにある
となるとメアリーJをブリッジとした一昔前の社公民路線みたいな競演か。なかなかキャロルとファギーの接点が見つからない。
とはいえキャロルは何人かいる「原点」の1人である。女性が1人でヴォーカルを取るという形のルーツがジャニス・ジョプリンであるように、ビジュアル系の根っこにディビット・ボウイがいるように、キャロルは「女性シンガーソングライター」の発祥だ。したがって以後の女性ミュージシャンがジャンルを問わずキャロルを尊敬するのはわかる。
“3 Great American Voices”の最中にキャロルは自身の年齢を65歳と替え歌であえて告げた。考えてみれば伝説のアルバム「つづれ織り」(Tapestry)の発表は1971年。今から36年も前である。36年といえば日本が朝鮮を植民地支配したのと同じだけの年数だ。ずいぶん昔のこと。62年生まれの私もTapestryはリアルタイムで聞いた記憶がない。多分やや遅れての追体験である。したがって会場には40代後半から50代の客も多くいてファギーのパフォーマンスにはビックリしていた。
キャロルの選曲もTapestry中心。しかしイッツ・トゥー・レイト (It's Too Late)は歌わなかった。これはリアルタイムファンにはつらかろう。先行した他の会場でも同じだったという。理由は不明。日本でのコンサートでビッグネームがこうした「外し」をする件は他にも多くある。誰か理由を教えて下さい。
ファギーは現在30代。案外と苦労人である。いきなり嫌いなはずの腹部を露出して登場。ここまでシェイプアップしていると誇示したかったのか。マイク片手にバク転したりとフィジカルの強さを強調していた。
しかし、それにしても大ヒット曲(それもスタンダード系)があると歌手は違って見える。ビッグ・ガールズ・ドント・クライ(Big Girls Don't Cry)はビルボードチャートこそトップ数が少なかったものの07年最大の収穫といっていい。アメリカの女の子はみんな歌っていた。日本でも大学1年生の女性が私に「ファギーだけだったら行った」などと話す。
確か「歌手に大ヒットは必要だ」と説いたのは矢沢永吉で説かれたのがオフコース。そこで「さよなら」が誕生したとか。いったん大ヒットを手にすると過去の曲まで自身の持ち物のようになる。BEPあってのファギーか、ファギーあってのBEPかとの論争は、当然のごとくBEPのメドレーを熱唱する今のファギーの姿で決着がついた気もしたコンサートだった。
メアリーJはもはや女王様である。He Think I Don't KnowやBe Without You(何て素敵なタイトル)は単にヒットしただけではなくグラミーからも愛された。この辺が大御所への布石となろう。ただ実物を間近(アリーナの前3列目だった)に見ると聞き慣れたヒット曲の数々よりも体型が気になってしまう。やっぱり例のダイエットの印象が強烈だからか。この人は相当長いのにいまだチャートのトップを平然とねらえる地位にある。
ニューヨークの香りといえば去年来日したビリー・ジョエルが有名だけれど、いかんせん懐メロ歌手だ。ラモーンズはみんな死んでしまったらしいし。その点でメアリーJの歌声は今のニューヨークを代表するといっていい。
サブプライムショックで下げまくるウォール街と、その資金が回避しているせいもあって暴騰するマーカンタイルと、共和党の大統領候補に擬せられる前市長と、そんなこんなを抱え込むNYを母のように包むメアリーJは“3 Great American Voices”でも右手に伝説(キャロル)、左手にティーン(ファギー)を抱いてアンコールを仕切っていた。(編集長)
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