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2007年11月 4日 (日)

「死化粧師」を観る 第5回/お柩に入れてはいけないもの

 今日もテレビのある部屋の寒さに打ち震えながら、「死化粧師」を観る。早くヒーターなど買わなければいけない季節になってきている事をしみじみと感じながら観ていると、しょっぱなから、エンバーマー間宮心十郎が勤める病院の院長が倒れた! ひそかに想いを寄せていた、女医の小雪(国生さゆり)がかけよる。

 病気が再発したらしい。死を覚悟した院長は「僕が死んだら…」と、エンバーミングを希望する。一方で小雪は、院長に婚姻届を渡すことでプロポーズ。それは、最期まで希望をもって精一杯に生きて欲しいとのメッセージも込められているのだろう。結局、院長はプロポーズを受け、婚姻届にサインをした。
 自分の死期を悟ったら、死の支度をはじめるのが正しいのか、精一杯生きようとあがくのが正しいのか。
どちらがどうとも言えない。言える人などいまい。
「僕が死んだら、エンバーミングを君(心十郎)の手でして欲しい」
 という院長の気持ちと、
「死んだら、ゴミ同然だ。そう思えばこそ、生かすことに一生懸命になれる」
 という小雪の激しい思いと、どちらを支持したらよいものか。そして安倍なつみの妹は、どうして訛りキャラなのか。このドラマを観ていると、悩むことがたくさんあって大変である。

 そんなことを考えていたら、院長があっけなく死んでしまった。エンバーミングの依頼書を書かないままに死んでしまったので、心十郎がエンバーミングを行うと、死体損壊の罪に問われてしまう。
 が、小雪が動いた。
 自分のポリシーはどうあれ、院長自身の遺志を大事にしたいと言い出したのだ。
 婚姻届を出したのだから、院長と小雪は夫婦である。遺族であれば依頼書にサインが出来る。

 しかし、意外な結末が。
 婚姻届が、小雪宛にしたためられた手紙とともに院長のベッドから見つかる。
 院長はサインはしたが、届を市役所に出していなかったのだ。2人は、結婚などしていなかったのだ。手紙には「未来のない僕よりも、もっとすばらしい人とともに人生を歩んで欲しい」といった内容が書かれてあった。泣き崩れる小雪。2人の微妙なすれ違いが切ない最後だったけれど、院長先生のご葬儀には、ウェディングドレスを着た小雪が婚姻届を柩に忍ばせた。
 婚姻届。
 ならば良い。
 紙ならば良い。
 たまに、ヘンなものを入れようとする人がいる。

 ここで、柩に入れがちだが入れてはいけないものについて豆知識を少々。
まずは果物。
 リンゴが好きだったからと言ってリンゴを丸ごと一個入れてしまうのは、完全にアウト。ミカンもやめたほうがいい。グレープフルーツなんてもってのほか。水分が多くて、火葬の時間が長くなってしまう。ヘタすると炉の中で破裂なんてことも。そもそも柩に入れて欲しいと思うほど日々の果物が好きな人があろうか。お供えに頂いたもののついでに入れようとしているのでは、と思ってしまうのは乱暴に過ぎるだろうか。
 こんな時、葬儀屋は言うであろう。
「食べやすいように、一口サイズに切って、一つだけ入れて差し上げましょう」と。
 火葬時間短縮のためにも、その通りにしようではないか。

 そして枕。
 故人がまとっていたものを一緒に入れようとする方は多い。それが本当にお好きだったものなら良いのだが、枕を入れるのは単に、残しておいても困るだけだからなのでは。布団もまた然り。綿もの、カサの出るものもまた火葬時間を長引かせる。始末してしまいたいという気持ちだけが勝つのであれば、入れるのはご遠慮いただきたい。
 そんな時、葬儀屋は言うであろう。
「もしどうしてもお手元に残されたくないのであれば、私どものほうで処分いたします」と。
 そう言うまで粘ろうではないか。

 さらに本。
 文庫本程度なら良いのだが、分厚いものだと燃え残る。
 カバーだけにするなど工夫をしよう。
 なお、色味の強い花を入れると、骨に色がつく。
 色モノはほどほどに。

 最後に、柩に入れるお勧めのものを一つ。
 写真。
 写真に写っている本人が、焼かれてしまうのをイヤがらなければ、長い旅に持って行ってもらう思い出の品としては最強だろう。

 今回も終わりが近づいてきた。エンディングでは、小雪が「院長の遺志を継ぎたい。私に、お前の手伝いをさせろ」
 と心十郎に迫っている。
「死んだらゴミと同じなんだよ。だから、エンバーミングなんてやめろ」と言っていた同じ口から出た言葉である。
 いくらなんでも、どういう風の吹き回しなんだ。
 お前はキリストの弟子か?(小松朗子)

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コメント

つい先日、火葬の際に酒3合を棺に入れました。葬儀屋さんが勧めてくれましたよ。

投稿: | 2007年11月 4日 (日) 19時58分

こんばんは。
実は4回目から見るはずであった放映が地域がら映りの悪いことに気が付き、小松朗子さんのログが一層楽しみになり今夜もオジャマしています。
ログを読んでいるだけですが国生さゆりの演技が想像でき、寒さが増し始めた今日この頃何分にも不謹慎でありますが、ドラマの内容に反しログの語りの面白さに綻んでしまいます。
ちなみに生前大事にされていた「ぬいぐるみ」なんて入れてはダメですよね?、始末というか残された物達が可哀想にも感じ魂がこもってそうな…。

投稿: ぶんぶん | 2007年11月 5日 (月) 00時57分

こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
〉火葬の際に酒3合を棺に入れました
ビンでなければ良いとは思いますが…
アルコールはある意味火葬向きです。
紙パックにしたうえ、ストローを差すなど(悪酔いしそうですが)穴をあけると破裂の心配もないと思われます。
3合か…昔勤めていたところでは、にらまれそうです。よい葬儀屋さんですね。

ぶんぶんさん、コメントありがとうございます。
はい、国生さゆりの演技を見ると本当にもう冬かも、と思いますね。
ぬいぐるみは、大きいものでなければ平気かと思います。判断は葬儀屋さんにもよりますが、私の感覚では20センチ以下のもの、綿の薄いものならセーフ。あとは、相当可愛がっていたものでなければ供養していただけるお寺を紹介していただくのが良いでしょう。

投稿: 小松 | 2007年11月 5日 (月) 09時44分

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