やっぱり亀田興毅は最強か!?
もしかすると亀田興毅は世界最強のボクサーではないのか。最近、その思いが消えない。
きっかけは亀田大毅の試合だった。彼は亀のように防御を固め、頭もふらず突進した。亀田一家が推し進めるファイトスタイルである。打つ場所、使える武器を極端に限定したボクシングで、中間距離での「制空権」を完全に明け渡したボクサーが世界チャンプになれるわけがない、通常なら。この当たり前の事実を大毅は証明したといえる。
でも、興毅は!?
防御に大きな欠点を抱えていたボクサーといえばガードの下がる辰吉丈一郎を思い出すが、何より彼にはスピードがあった。しかも上体を振り続けてもいた。だから相手のジャブをくぐり抜け、的確にパンチを当てることができたのだ。ただし圧倒的なスピードが衰えをみせた途端、相手のパンチをモロに浴びるようになったが……。
中間距離を完全に放棄したボクサーとして有名なのは斎藤清作、のちのたこ八郎である。彼は幼少期のケガで左目の視力がほとんどなかったため、ノーガードで打たせて距離を感じ取る必要があったという。そのボクシングスタイルで人気を博したが、戦績としては日本チャンプどまり。ただし酔ってケンカになっても、彼の体に触れた者はいなかったという逸話は残している。実際の試合映像を見たことはないが、ボクシング専門誌などを読む限り、スピードのある選手だったのだろう
ボクシングでは距離が重要だといわれる。自分の得意な距離に入り込むためにフェイントなどを織り交ぜ、逆に相手の距離にならないようにジャブなどで牽制を繰り返す。この攻防をいっさい取り払ったところに亀田兄弟のボクシングスタイルがある。通常なら絶対に選択しない手法だ。選ぶとすれば、相手がアウトボクサーで絶対的な実力差があるときぐらいだろう。ドカンと飛び込んで、とにかく序盤に一発見舞ってKO。玉砕覚悟である。
いくら最強のマッチメイクで最弱のボクサーを連れてきていたとはいえ、興毅はランダエタとの再戦まで、この亀田スタイルを貫いて勝っている。スタイルを大幅に変えたといわれたランダエタとのジュニアフライ級防衛戦でさえ、打ち合っているときにはステップも上体の揺らしもなかった。
そのうえ次の試合となるWBCフライ級12位のモラレス戦では、ファイトスタイルを元の亀田型に戻したのだ。結果的には、頭突きからのフックという流れるような「コンビネーション」でダウンを奪い、KOこそ奪えなかったものの亀田興毅の圧勝となった。
正直、かなりスゴイと思う。穴だらけの戦法でリングに上がり続けるほど怖いことはないだろう。しかも亀田興毅はアゴを打たれると弱いというボクサーとして致命的な欠陥まである。
父親による誤ったボクシング指導、隙のありすぎるボクシングスタイル、グラスジョー(弱いアゴ)、空手の癖なのか溜めの入るモーション。これだけ穴がありながらチャンプになれたのは、反則やマッチメイクのおかげだけではない。協栄ジムのトレーナーが本気で指導すれば、亀田興毅は一気に強くなるはずだ。
世界チャンピオンになってから基礎を学んで成長するボクサーなんて、そうそういるもんじゃない。だってウェービングとダッキングを教えるだけで、もう大進化なんだよ!
成長のノリシロをここまで残したボクサーはいない。そう考えると、はり亀田興毅は最強じゃないか?(大畑)
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