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2007年11月24日 (土)

『吉原 泡の園』 第43回/保健所は警察よりコワい!

 それにしてもソープランドというのはちょっと性風俗の中でも異質なのである。
 普通の性風俗の管轄が警察なのに対し、ソープランドはスチィームバスを使うサウナ。で、担当管轄が保健所なのだ。
 警察が営業停止命令を下すほかの性風俗と違い、ソープにとって警察はさほど怖い存在ではない。(暴力団との繋がり、激しい客引きに対して、警察が介入できるところが怖いと思うくらい)が、保健所様と聞けば、天下の山○組組員も震え上がるほどの存在なのだ。
「なにぃ、○日に保健所が視察だぁ?」
 とソープ幹部はいきり立つ。
 その日が近づくと、幹部はレンタカーから3tとか2トン半とかの箱車を借りてくる。そこにベッドシーツから何から何までを積めこみ、視察というなのガサ入れが終わるまで、どこかの駐車場に止めておき、ほとぼりの冷めるのを待つのである。
 その日、たまたま僕が仕事の休日であった。他にTさん、Fさん、Eちゃんなどは仕事である。それに、もともと人手も多いほうではなく、むしろ少ない。猫の手も借りたいほどなのだ。
 で、明日保健所が来るとなると、当然休日でのんびりテレビを観賞中の僕のところに電話が来る。
「ああ、マルか、悪いの、今なにしとった」
 こんな電話はどうせ店に来い、という電話なのだ。
 アー。休日がぁーと思いながら、
「今、寮にいます」
「そっかぁ、飯奢るで、店きいへんか」
 となり、それを断るのは不可能なのである。
 しぶしぶ店に行く。Tさんなどが少しは手伝ってくれていた。テーブル、枕、シャンプー類、ヘアリキッド、スケベイス、化粧台、それぞれに分類されて、2階の廊下に並べてある。マットプレイ用のマットは、空気を抜けばかなり小さく軽くなるから、後でも良い。
 こんなときはもう営業どころではなく、最小限の部屋数、つまり3,4部屋といった所か、で営業している。
 残りの部屋は、サウナスチィームを残して、全部トラックに隠す。石鹸類すらダメなのだ。とにかく法律上はダメ。
 その日だけは、天下の保健所職員様が視察するときだけは、一応法律通りになっていなければいけないのだった。その年に何度かあるイベントのおかげで、R店の少数ボーイ、中でも僕は人一倍作業し、汗だくになりながらその作業をするのだった。
 また、当時、R店は店内改装工事と重なり、踏んではいけない個所もあり、それだけで二重の苦労になったりもしたのだった。
 2階廊下最奥は、使用済みのタオル、バスタオルの山になっている。それも綺麗に片付け、かつその奥にある非常階段も、障害物なく通れるように片付けたりもした。
 気づけば午前2時、いつものように客は帰り、山谷方面から続々とホームレスが吉原のゴミを目指して歩いてくる頃、とりあえず荷物はトラックに入れ終えるのだった。
「ご苦労だったな」
 とマネジャーはいつもとかわらぬ様子で、これまた汗ひとつかいていないのである。
「飲みに行くか」
 と割り勘の飲みに付き合わされるのであった。
 それにしても、幼い頃の僕は、保健所といえば犬などを引き取ったり、予防注射をする、何だかアットホームな雰囲気を抱いていた。が、ここ吉原では泣く子も黙る山○組ですら、子供同然に扱うその姿を見て、1番恐ろしいのは保健所だ。という偏ったイメージを植え付けられたのだった。(イッセイ遊児)

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