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2007年10月10日 (水)

弱者に厳しいアンハッピー・マンデー

今日(10日)は体育の日。1964年の東京五輪開催日をいつにするかを決めた際に「この日は気象統計上雨が降りにくい」と見定めて決めた。「体育の日」は日本初の五輪が行われ、かつ晴れるという二重の意味で10日がふさわしい。
なお以前気象庁を取材した時に10月10日は厳密な意味での「特異日」ではないそうだ。晴れる特異日として著名なのは11月3日の「文化の日」(明治天皇誕生日)や正月三が日明けで、偶然とはとうてい思えないほど好天に恵まれ、明治天皇神格化の一助とさえなったそうだ。10月10日はむしろ9月下旬に台風襲来やそれと刺激し合う秋雨前線の活発化による「雨が降る特異日」があり、ここが一段落する時期として晴れると予測され、うち10日が過去の例からもっとも晴れる確率が高いとわかったようだ。ただそうだとしても10月10日が広義の特異日とみなすのは間違いではない。
だが今年もまた10月10日は祝日ではなかった。ハッピーマンデーのせいである。上記のように10月上旬は晴れやすいので特異日云々から日をずらす妥当性を争う理由はあまりないかもしれないけれどオリンピック開催日と体育の連想は「祝い」には捨ててはならぬ気がする。

そんなことはどうでもいいという人もいよう。しかしハッピーマンデーはいろいろなところで小さな、でも見逃せない問題を生み出している。

例えば大学の授業。当然のことながら月曜日のカリキュラム消化が難しくなるので他の曜日に振り返る。曜日でコマを得ていて複数の大学を掛け持つ非常勤講師は大変だ。ある月の月曜以外のある曜日にA大学の通常のコマとB大学の月曜振り替え授業が重なってしまったりする。
それを防ぐためにあえてハッピーマンデーのいくつかを休みとせず授業を実施し、他の曜日を祝日でも何でもなく「代休」する大学もある。でもそうすると労基法上の割増賃金の問題とか何とか経理上面倒なのだそうだ。

週末に急病を抱えた人も大変である。救命救急や休日当番医の処置は受けられるけれども専門医は三連休でいない。急病に1日の見過ごしはつらい。医師も大変なようで休日なのに入院患者を診にやってきたりする。そして三連休明けの外来はごった返しだ。はっきりとハッピーマンデーは迷惑だと言い切る勤務医もいるのである。

日払い給で何とか生計を立てている低所得層やホームレスの方々に至っては死活問題にさえなる。何人ものホームレスから「あれは止めてほしい」と聞かされた。週末に予定していた仕事がキャンセルとなり(日払いの方には珍しくない)そのまま工事現場も事務所も閉じてしまう三連休に突入すると最悪だ。休みだろうとなかろうと1日は24時間で規則正しく腹が減る。ハッピーマンデーの「食事」は水だけなどという人がたくさんいるわけだ。そして休み明けの仕事は供給超過で高倍率。結局食いはぐれるリスクも高める。

零細企業にもアンハッピー。もともと日曜日すら激しく働かないと倒産するのだから祝日だろうが何だろうが働けばいい。いいのだが働きたくとも働けない場合が長く続く。金曜日午後に補充注文が来る。取次様へは火曜以降でないと出庫できない。たかが1日というなかれ。その1日が売り上げへ深刻な打撃を与えるのが零細の零細たるゆえんである。
印刷会社の3連休はそのまま本の完成を遅らせる要素になる。予定の校了がたった半日延びただけで取次様への見本出し予定が金曜日だったのが火曜日になってしまう。そうならないように印刷屋さんを脅し?たり泣きを入れたりする。担当の営業さんも必死にやりくりしてくれる。そんなこんなはすべて労働強化だ。

足を悪くした結果として最近タクシーを多く使った。よって運転手ともよく話した。その結果どうやらタクシードライバーにとってもハッピーマンデーは懐を直撃するらしいとわかった。

非常勤講師、急患、日払い労働者、ホームレス、零細企業、近年賃金の低下が問題となっているタクシー運転手。共通するのは「弱者」という点だ。しかも9月から10月上旬にかけて3連休が立て続けに3週もあった。ハッピーなのは3連休でびくともしない大企業や公務員。格差社会のひずみはこうしたところにも現れている。(編集長)

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